好きだって気づいて、とりあえず可愛く見せようと少しだけメイクもしたし髪型だって男ウケのいいのにしてみたり。
でも赤葦がすきなのじゃないと意味がないし、何がすきなのかわかんないから、とりあえず王道のポニーテールにしてみた、けど。

「どうしようなんか顔が大きく見える…」

何かパーツが寄って見えるっ…。ちょっとオン眉にするのやめようかな。今日はちょっと眉下のパッツン気味にしとこう。よし、朝練に出発だ!

*

「…何か今日の千帆可愛い」
「えっほ、本当ですか!?」
「どうしちゃったの色気づいちゃって〜いつもは顔に泥がついても動じないのに〜」
「ちょっ泥とかついたことないですよ!」
「言葉の綾よ」

でもでも、可愛いって言われちゃった。どうしよう。ウキウキが止まらなくて、朝練が終わった後もウキウキしてたら木兎先輩が「何か今日ちげえな!」なんて言ってきたから目を輝かせて「そうですか!?」と詰め寄ったら「おう!」とニコニコと笑って赤葦のほうに駆け寄っていった。あ、あ、赤葦に言われたいのに…!仕方なくとぼとぼと教室に帰る。まあ、同じクラスだし良いですけど…。

「おはよーってあれ?今日メイクしてる?」
「してるしてる!気づく!?」
「何か違うなーって思った」
「わーよかった気づいてもらえた〜」
「ていうかあんたファンデーション濃すぎでしょ」

えっそうなの?よく分かんなかった…。立てれるミラーを貸してもらって落としていたら友達が「あんたは肌白いし綺麗だからしなくても大丈夫だよ」と言ってくれたので、成る程と思いファンデーションをするのはやめることにした。

「にしてもどうしたの急に」
「あ、いやちょっと…」

えへへと頬を掻く。だって赤葦が好きなんてぺろりと言えることじゃないし。もし聞かれてたらなんて思うとぞっとする。キョロキョロとあたりを見渡したけど赤葦はまだ来ていなかった。

*

「何か今日の佐倉可愛くね?」
「思った。全然ありだよな」

男子のひそひそとした話し声に赤葦は耳を傾けた。佐倉という単語にぴくっと反応してしまう。確かに今日、佐倉はいつもと違う。でも何が違うのかよく分からなかった。髪型はいつも部活でしているやつだし、なんか目がいつもより黒いような感じがしただけだったのだ。

「わっかんね…」

男子にモテたくてやってんのか?と少しだけ思ってしまう。だからといって赤葦には関係ないことで、もやもやとしてしまう。チラりと佐倉を見ると元気よく笑っていて、なんだか口元が緩んだ。気づいて慌てて顔を無表情に戻す。何で自分は佐倉を見て顔が緩んでるんだ…。ぱちんと頬を叩いて無、無、と考え出した。だけど出てくるのは佐倉の笑った顔ばかりで。

「赤葦っ笑って!ニィーッて」

あのときの佐倉は、上手く言えないけど、何か可愛かった。心臓を銃で撃たれたような感触で、暫く佐倉にドキドキしていた。
この気持ちに気づいたのはつい最近で、自分でもどうしたらいいのか分からないけど、たまに無償に佐倉を抱きしめたくなる。
つい先日赤葦は告白をされた。そのとき、佐倉に好きな人がいるから断った、と言った時少しだけ寂しそうな顔をされた。協力すると言われたけど、お前のことだ、なんていえないから上手くはぐらかしたけど。
佐倉は自分のことをどう思っているんだろうか。そう佐倉を見ると、楽しそうに尻尾を揺らしていた。


20150901


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