「いーわーいーずーみー」
「ちょっと待てって」
「ひーまーでーすー」
「俺は忙しい」

岩泉はいま、部活の紙?なんかスコアかなにかをみているらしく、あたしに構ってくれない。くそ、あたしに構わない岩泉なんて………ちょっといいかも。
うふふと笑いながら岩泉の背中を見つめて、頬杖をついて岩泉を見つめる。岩泉の大きくてたくましい背中。好き…!

「いーわちゃーん」
「おいその呼び方はやめろ」
「…岩泉」
「名前は呼ばねんだな」
「呼べるか!」

あれ以来名前についていじってくるようになった。名前を呼ぶなと言ってしまったから、名前を呼んでくれないし、たまにニヤニヤと見てくる。お前の名前、なんだっけな〜と聞いてくる岩泉がうざい。確かにあたしが悪かったけどさあ!別に、名前で呼んでくれてもいいじゃん…。

「お前の名前はー」
「…」
「えーっと、なんだったかなー」
「うっざ!ひかるよ!」
「え?なんだって?」
「うざ泉!うざ泉はじめ!」
「あ、名前で呼んだ」
「うっ…」

別に名前で呼んじゃいけないなんて言ってないじゃない!と言うと、岩泉は背を向けたまま確かにそうだなーと明らかに楽しんでるような声色で。ふ、ふざけんな、あたしのこと遊んで……ちょっといいかも…。

「あー、名前の最初の文字なんだっけなー」
「…」
「名前何文字だっけなー」
「…」
「10文字ぐらいあったかなー」
「ねーわ!苗字でも10文字はなかなかいねーわ!」

かははって笑う岩泉。完全に焦らしプレイだよね……うふふ…最高。

「よし、続きは家帰ってみるか。構ってやるぞひかるちゃん」
「待って、ちゃん呼びリアルに鳥肌たったからやめて…」
「ひかるちゃん?」
「うわああ及川君思い出す…」
「は?じゃあもう二度と呼ばねーわ」

つーかあいつ名前呼びかよという岩泉にあたしはまだ鳥肌たった二の腕をさすっていた。岩泉の声よすぎて、ゾワゾワしちゃった…。名前呼びは照れるけど、名前にちゃん付けはかなりキモいな。さすがにこれは無理だな。…いや、あたしに限って岩泉が無理なことなんて何もない。今はこうだけどいつか良いって思える日が…。

「お前顔変だぞ」
「へっへん!?」
「声裏返りすぎだろ」

ははって笑う岩泉がかっこよくて、なんかどうでもよくなっちゃった。

「はじめくーん」
「何かお前にはじめくんって呼ばれると気持ち悪いな」
「それ今さっきのあたし」

前より恥らいなく名前を呼べるようになったのは進歩だと思う。でも、やっぱり恥ずかしいから普段からは呼ばないけど。だって名前なんて呼び始めたら、語尾にハートマークな勢いなんだけど…!最近岩泉大好きに拍車がかかってきたなあ。つまに、あたしの変態度が増したってことで…。


20151115



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