ぴぴぴぴっとアラームがなり、それを止めてロック画面をみたら、盗撮した岩泉がおはようと言っているようだった。目をこすりながらそれをじーっと見ると小さく及川君が写っていた。まあどうでもいい。
「ふああ…もう夏だなー…」
半袖でも全然涼しいから問題ない。
朝、学校に着くと教室の前の水道で水遊びをしている人がいて、それを避けながら通ろうとしたら、そりゃもう派手に当たりました。
「わー!ごめん!」
「人きたらとめてよもう…」
はあ、とため息をつく。朝からいいことないなあ。タオルも無いし、どうしよう。幸いならことにベストを着ていたのでそれを脱げばいいし、濡れてないから透けもしない。だけど色々びしょびしょ。
…どうしよ。
「何してんだ」
岩泉の声!なんかタイミングいいよね。ばっと振り返ると呆れたようにあたしを見ていた。ちょっと、あたしがやったわけじゃないんですけど。
「タオルでふかねーの?」
「ない」
「はあー…」
ごそごそとエナメルバックからタオルを取り出した。
「朝練でもう使ったから汗くせーかもだけど、それでもいいなら使えよ」
岩泉のタオル!何それ超使いたい!だけどここで使う!とか言ったら気持ち悪がられそうだから違う言葉を考える。
「…仕方ないから、使ってあげる」
岩泉から受け取り、拭こうとしたけど、思ったけどこれ服とかに汗つけてるようなもんだよね?ていうか岩泉の汗だよ!?ちょ、ちょっと嗅いでもいいかな…とりあえず教室に入り自分の席に座って顔を拭くように見せてタオルを匂いを嗅いだ。やばい、今の自分めちゃくちゃ気持ち悪い。でもさ、でもさ岩泉のタオルだよ!?それが汗臭かろうと洗剤の匂いがしようと嗅ぐよ!?というか洗剤の匂いだったら尚更においたい。
あー、これが岩泉の匂い…汗の匂いしない…最高…。あんまりしてたらバレるのでとりあえず拭くだけ拭いて、岩泉を呼んだ。
「これ洗って返すね」
「別に気遣わなくてもいいぞ」
「さすがに遣わせて」
そういうとサンキューな、って笑った。きゅん。汗臭い岩泉大好きだよ。
20150914
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