さて、少し考えてみようと思う。
あたしがこんなにも岩泉に対してべた褒めなのは、とにかくあたしが岩泉のことが好きだからである。
だって、これで岩泉が好きじゃなかったらおかしいでしょ。こんなにきもくなんないし。てかあたし岩泉みたいなのタイプじゃなかったし。どちらかといえば及川君みたいな爽やかな…いやいや、あいつはたまに変な噂あるからやめとこ。
ふわああとあくびをする。教科書を持って移動する時でさえ眠い。次の授業絶対寝るし。はあー、岩泉見ないと寝ちゃうよー。
「ねっむ…」
「でっけーあくび」
「わぁ!?岩泉!」
前にいた男子が岩泉ってことに気づけなかった…。くそ、あたしはなんてことを…!てか今のやつ声に出さなくてよかったまじ焦った。あ、今日初めて話しかけてくれた。なんでいい日だ今日は。
「ねみーよな。俺も次の授業寝そうだ」
「ちょっと何あたしが寝るって決めつけてんの」
「じゃあ真面目に授業受けんのかよ」
「いや受けないけど」
「受けろよ」
ああん岩泉のツッコミ痺れるう…大好き…きゅんきゅんして仕方ないよ…。
岩泉のキリッとした瞳が好き。でも岩泉ガン見してたら前みたいにばれるからできない。くそう…と俯こうとしたら。
「お前睫毛なげーのな」
「へっ…」
びっくりして変な声出た。え?今岩泉あたしの睫毛褒めた?長いって?あーーーよかったマツイクしてて!!少し伸びたんだよねーここで役に立つとは。きゃ、嬉しい。嬉しくてたまらないけど顔には出せないし。
「…き、きも。何見てんの」
「はあ?見えたんだよ」
「嘘…あたしのこと見てたんでしょ」
どきどき。いつもみたいにひねくれた回答が上手くできない。でもそれでいいんだと思う。いつものあたしは可愛くないから。
「…まあ見てたっちゃ見てたけど」
「やっぱりね」
「お前やけに挙動不審だから」
え。ちょ、やばい。あたし挙動不審だった??あああどうしよう岩泉にそんな風に思われていただなんて!不覚!今日からあたしはまっすぐ前を見て歩きたいと思います!
「んなわけないじゃない」
「なんだよ便所か?」
「違うし!」
もう岩泉のバカ!
あたしの睫毛でも永遠に見てろ!
20150910
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