最近岩泉とよく喋ってる気がする。
あたしも前より話しかけるようになったし、岩泉も。
あれ、そこらへんの女子よりも喋ってるんじゃない?
ただ…。

「岩泉ー」
「ほらよ」
「ありがと!」

英語の教科書を借りに来るあの人を除いては。
だって、すっごい仲いいんだもん。前同じクラスだったらしいけどさ、何でそんな仲いいの?なんなの?付き合ってるの?意味が分からない。そんなに岩泉に話しかけないでよ。ていうか英語の教科書持ってくればいいじゃない…!岩泉も楽しそうに笑っててさ。
じーっとその彼女を見てると、その彼女と目があった。や、やばい。

「どうも」

う、なんか怖そう。だってすっごい抑揚なかったし。ツンツンしてるし、うわあもうむり!岩泉なんでそんな平気そうなの?!

「お前もっと愛想よく言えよ」

ぺしっと肩を叩いた。えっちょ、岩泉がそのひとにボディタッチをした?!ちょっと!まって岩泉!何してんの?!?!彼女はいたいといってるけどさ、超羨ましいんですけど本当何なの!

「あー、また岩ちゃんに教科書借りてる!」
「徹」

そう言って彼女は及川君のほうに歩いていった。え、え?今及川君のこと徹っていった?いや、まあ仲いい子は名前呼びなのかもしれないけど、もしかして?

「あいつら付き合ってんだよ」
「え…」
「まあ英語の教科書は変わらず借りてくるけどな」

ハハッて笑いながら、あたしのほうに体を向ける岩泉。
な、んだ。付き合ってるんだ、及川君と。

「だから俺はあいつとは何もねーってこと」
「ふうん」
「ま、安心しろよ。俺はフリーだっつーことだ」
「は、はあ?何言ってんのバカじゃない」

そう言って笑ってるけど内心いっぱいいっぱいだ。何こいつ。あたしがあんたのこと好きって知ってて言ってるの?それだとしたら、あたしめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。

「ま、好きな奴もいるっつーか」

チラりとあたしを見て、不敵に笑った。
え、何その笑み。超かっこいい。岩泉超かっこいい。あたしのポーカーフェイスが超崩れそうなんだけど。もうちょっと持ちこたえてあたし!

「だ、誰なのよ」
「あん?教えるかっつーの」

ヘッとバカにしたように笑う岩泉に少しだけカチンと来た。な、なんなのよ!あたしが折角勇気振り絞って聞いてんのにその態度は!もうむかつく!むかつくけど好き!ていうか好きな人いるの…?まじで誰…。今さっきの人だったらもう泣く。だってどう考えても無理じゃん。めちゃくちゃ仲いいし。

「…はあ」

告白して何かが変わるっていうなら告白するってのもあるけど。あたしがそんなまねできるはずない。だって今でさえも素直な気持ち言えてないのにさあ。岩泉もこんなツンツンしたあたしをよく相手にできるよね。凄いと思う。…また、ため息が零れた。

「どしたんだ?」
「あっいや…なんでもない」
「そんなに俺の好きな奴しりてーのかよ」
「はあ?なわけないじゃん…!」

嘘、めちゃくちゃ知りたい。でもそんなこといったらあたしが岩泉のこと好きってバレてしまうかもしれない。だからいえないし、言わない。岩泉はじーっとあたしを見てきた。

「お前はいねーの」
「あっあたし!?」

いるって答えれば正解なのか。
いないって答えればいいのか。あたしには全く分からなくて、「どうだろうね」って濁した答えをしてしまった。もしあたしがこれ聞いたらあ、いるんだなって思うけど。

「いるんだな」
「ちょっいるとはいってない!」

ダメだ、これ以上喋ってたら墓穴掘りそう。

「いないから!」

あたしは言うだけ言ってそのまま席についた。岩泉に、言ってしまった。いないと。
…なんてことをしてしまったんだ。

20150917

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