教室で彼女は静かに座っていた。相変わらず女子に嫌われ友達がいない。だからといって全員というわけでもなく、話しかけてくれる子はいるみたいだ。あと、男子。男子は完全に下心あり気で話しかけるからいい加減にしてほしい。あいつもあいつで断れないのをどうにかしたらいいのに。木原が本気になってあっちが冷めるなんてしょっちゅうだ。

「おはよ」

木原に話しかけると木原は明らかに嬉しそうにおはよう!と返した。なんかこいつ泣いてなかったら犬みたいでうざいな。キラキラした瞳で俺を見ないでほしい。

「国見くん。今日は月曜日だね」
「ん」
「…部活休みなんだよね?」
「うん」

そういうと更に顔を輝かせる木原。なんか企んでるのかな。

「あ、あの…私のお買い物についてきてもらえますか…」

もじもじとしながらいう彼女は実に癇に障る。嫌だと言おうと思ったが、めったに言わない彼女の要求なので、受け入れることにした。

「いいよ」
「やった」

ギュッと雑誌を抱きしめた。何なんだろう。あんまり可愛いところには俺入れないけど。


「国見と木原さんって仲いいよな。付き合ってんの?」
「付き合ってないけど」
「へえ。てっきり付き合ってんのかと」
「よく言われる」
「木原さん可愛いけどずっと一緒にいんのは疲れんだろ?」

ニヤニヤしながら聞いてくる同じクラスの男子。そんなことしか聞いてこないのか。あいつの話ばっかりだ。どいつもこいつも。

「さあね。お前よりかは疲れないけど」
「ひっでーこというなあ」

お前にあいつのことなんて一つも教えてやらね。例えお前があいつに惚れてもだ。絶対に嫌だね。

「ねーねー木原さーん」

俺たちの話を聞いていた女子があいつに話しかけた。もしかして、同じことを聞くのか。

「木原さんと国見くんて付き合ってるの?」
「えっ、違うよ!国見君は私の大切な、お友達です…」
「大切なお友達?ウケる」

そうやって机をばんばん叩いて笑う女子に不快な気持ちになった。あいつもびっくりしてるし。せっかく女子に話しかけられたのにこんな話で可哀想だなー。しかし、大切なお友達、か。ふーん。別にいいけど。

「国見フラれたな」
「黙って」

俺、あいつのこと好きなんて一言も言った覚えないけど。あー、なんかイライラする。なんでおどおどしながら話すんだよ。もっと俺と喋るみたいに喋ればいいのに。そんなんだからぶりっ子とか言われるんだよ。俺はそう思わないけど、女子からしたらそう見えるんだよな。意味わかんねー。つーか木原泣きそうじゃん。はー、もう勘弁。

「立って」

腕を掴んでそういうとすぐ立ち上がり俺たちは教室を出た。ヒューヒューと冷やかしがあったけど気にしない。ほんとうるさい。だからこいつも泣き虫になるんだよ。

「国見君…ごめ…」
「今日行きたいとこ俺と行くんでしょ。それまで泣くの禁止」

俺があんたを泣かすかもしれないけどね。彼女はこくこくと頷き涙を拭った。やっぱ泣いてたか。ほんとにバカだよな。話続けようとしてもあんな机叩くようなやつとじゃ続かないだろ。うじうじしててほんとうざい。すぐ泣くし、俺が外まで連れて行かないと泣き止まないなんか子供みたいじゃん。俺は保護者かよ。そんなの、絶対いやだ。

20150908




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