彼女は大変ドジだ。なんでこんなこともできないのってなるくらい。すぐコケるしすぐ慌てる。もたもたして要領が悪い。所謂不器用というやつで。それに男子は守ってあげたいと思うらしい。俺には無理だけどね。

「わっ…爆発しちゃった…」
「落ち着いて木原さん。ちょっと暴発しちゃっただけだから」

ニヤニヤしながら彼女に触れないでくれる。彼女のドジは今に始まったことじゃないから。てかさ、何で液体混ぜるだけなのに暴発すんの?こうやって化学の時でさえも彼女は男子にモテる。彼女に話しかけようとしている男子が数人。あーうざ。どうせ離れて行くんだから話しかけないでもいいじゃん。あ、ちらっとこっち見た。助けてほしいのか?でも俺は助けてやんない。フラスコを片手でもってゆらゆらと揺らす。そこの男子が助けてくれるんだったら俺は必要ないし。

「国見くーん。結果でた?」
「もうちょい」

分かってる。これは意地張ってるだけって。でもあいつも悪いじゃん。近くにいる男子に助けてもらってさ。俺と来世も一緒がいいならこっち来て助けてって言えよ。そんなんだから班作っても女子は違うところいくんだよ。

「国見くんフラスコ振りすぎ」
「あ、ごめん」

我に返り、ちゃんと実験しようと思う。いつまで考えても一緒ならもうほっとこう。実験結果がでてプリントに結果を書いていたら、ふわりとシャンプーの香りが俺の鼻腔をくすぐった。

「えへへ、来ちゃった」

少し申し訳なさそうに笑う彼女。あ、なんか笑ってるところ久々に見たかも。彼女がここに来た瞬間同じ班の女子は「げっ」とあからさまに嫌そうな態度をとった。それを聞いてびくっと体が震えた彼女。あ…。

「や、やっぱり帰ろうかな」
「あっちの空いてるとこいこ」

使ってないほうの机に行って椅子に座る。泣きそうになっている彼女を見てため息をついた。なんでこう、泣くのかな。

「あのさー。分かってたようなもんじゃん」

俺も大概酷いと思う。慰めになっていない言葉で彼女をさらに傷つけているのは紛れもなく自分だ。

「…でも、国見くんと喋りたかったから…」
「そ」

自分の返事がそっけなくなっているのは照れているとかじゃない。ばかだなあって思っただけ。べつに今俺のとこ来ても女子にああいう態度とられるだけじゃん。

「ほら、授業中だから泣くなよな」

あー眠たい。眠たいのにこいつの相手してやってるんだ。せめて何かないものなのか。彼女はうんうんと頷き、泣くのを我慢した。よかった、これで泣いたら超めんどくさいからね。

「国見君、今日購買ついてきてくれる…?」
「どこにでもついていくよ」

じゃないとまた泣かれてめんどくさいから。

「本当…?」
「嘘ついてどーすんの」

彼女は明らかにぱああと顔が輝いた。なんかうざ。なんでこのぐらいでそんな嬉しそうにできるのか教えてほしい。俺も単純だけど、彼女も充分単純だな。

20150908





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