人って何だか面白い。
分かっているのにどうしてそんなことをするの?と思う時がある。それと同時に、自分もそのようなことをしている時がある。
俺の場合もそうだ。

「…うー…ひっく…ぐずっずずっ…」

隣で鼻水垂らしながらぼろぼろと涙を零している女は、たった今彼氏にフラれたらしい。人がめったにこない一階、資料室の前の外の壁にもたれかかっている。俺はすることが無いのでとりあえず空を見上げて雲を数えていた。正直こいつがフラれて良かったと思っているから。

「私の、どこがっ…だ、めなのかな…ひっく…ぐずっ」
「だめとかじゃなくて合わなかったんじゃないの」

俺も中々のお人好しだと思う。
泣きながら聞いてくるこいつに的確なアドバイスをあげている。
いっつもだ。フラれては私のどこが悪いんだ、とか私はどうしたらよかったのか。なんて。本当にどうでもいい。何しても結局はこうなっていたんじゃないかと思う。だからそういう時は適当に言ってやる。今までそうやってきたから。

「あーあ。授業のチャイムなっちゃった」

俺がそういうと、「ごめんね…」ってまた泣き出した。せっかく泣き終わりそうだったのに、また泣くんだ。本当めんどくさいよなあ。なんでそんなに泣けるのか分からない。そんなに泣いて脱水症状起こすんじゃないのかってくらい。

「美味しい食べ物とか考えたら楽になると思う」
「美味しい食べ物…ハンバーグとか…?」
「そうそう。ハンバーグ」

中々予想の斜め上をいってくれた。てっきりマカロンとか?パンケーキとか?って言うのかと思ったけど。まあでもハンバーグ思い浮かべて元気になれたらいいね。俺は別にどうでもいいけど。というかサボっちゃったから折角だし寝ようか。ちらりと隣を見ると体操座りで前をみていた。泣き止んだなら泣き止んだって言ってほしいよ。こっちの身にもなってくれやってね。
まあこんな毒づいても、俺は彼女からは離れれないんだよな。
彼女は鼻水をすすった。


20150908





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