俺と彼女が一緒に行動しなくなって数日たった。さすがに女子も悪いと思ったのか、謝罪をしにきた。

「ごめん、なんか…」
「…俺にじゃなくてあいつに謝ればいいじゃん」
「……」

ばつが悪そうに下を向いた。プライドというやつで、謝れないのか。本当めんどくさいなあ女子って。

「木原さん、次の授業一緒に行こうよ」
「えっと…ごめん…」

彼女はどんどん元気がなくなっていた。まあ元々元気だねーと言われるような人でもなかったが。だけども俺が離れて邪魔者が消えたと思ったのかあいつのほうにたくさん群がるようになった。…は、うざ。
どうしたってあいつには男子が来るんじゃん。今まで俺が一緒にいたから行かなかっただけかよ。移動教室だって、弁当だって、休み時間だって、俺は男子といて、彼女はただ一人でいた。泣いていないのにその顔は今にも泣きそうだった。そうか、こらえてるんだな、泣いてるの。

「…お前さー、気になるんなら仲直りすれば?」
「は?」
「木原さん寂しそうじゃん」
「……」

隣に座っている友達がそう言った。
あの時一緒にいたいと彼女は言ったのに、この有様。
それだけで心が未だにズキズキした。どうしてもそのことだけは消えてくれない。あの時一緒にいたいと言ってくれた彼女の顔が消えない。小さな胸の高鳴りも覚えている。だけど今回は本当に呆れた。何で全部自分が悪いと思っているんだろう。確かに自分が悪い部分もあるだろうが、他の人のせいでもあるじゃないか。あんなに平気で悪口言って、告白されて断ったら冷やかされて、彼女だって疲れているんだ。なのにあの言葉は…。

「俺にだって考えはある」
「…はー、めんどくせ」
「は?俺が?」
「そうだよ。意地張ってさ、本当は一緒にいたいくせに」

言っている意味がよく分からなかった。だって、俺はあの時何かがスッと消えたんだ。もうなんか色々面倒になって、彼女と一緒にいるのがどうでもよくなって。

「思ってねーよ」

スクッと立ち上がり教科書をもって教室から出たら、慌てて俺を追いかけた。

*

「国見ちゃん、今日は何時にもまして元気がないね」
「…そうですか」

及川さんはキラッとした笑顔で俺の肩を組んだ。及川さん見るとあいつを思い出すから今はあんまり話したくないのに。

「何?何か悩みがあるの?及川さんに言ってごらん!」
「特に無いので大丈夫です」
「まあまあそんなこと言わず!」
「最近主将がうざいってことぐらいですかね」
「がびーん!」

がびーんて、古いな。
及川さんは分かりやすくしゅんとしたのでとりあえず放っておいて練習を再開する。無心、無心と思っていてもやっぱり彼女の顔が浮かびあがっていく。
「一緒にいたい」という言葉が頭から離れない。

「国見ー!帰りコンビニよろうぜ」
「おー」

結局練習にあまり集中できずに終わった。はー。着替えながら金田一の髪型を見つめる。あー、ダメだ。無心になれない。
着替えが終わり、外に出る。もうすぐ夏が来るとはいえ、夜は寒いな。金田一の話を半分聞きながらボーッとしてると、及川さんが校門で女子に話しかけているのを見つけた。

「へー、かなみちゃんって言うんだー。足もう痛くないの?」

…かなみ?
彼女の名前じゃないか。
焦りながらも胸のざわつきを感じていた。金田一の話は一つも入ってこない。少し足早にそこに行くと…。

「国見君…」

彼女が、いた。


20150913





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