あたしは部活に入っていない。だから部活組の変わりに委員会の仕事などをやっている。そこまで忙しくもないから別にいいんだけど。

「真由子いいの?ごめんね、いつも」
「大丈夫だよ。潔子ちゃんは部活行ってきな」

だから潔子ちゃんの分も変わりにやったりしてる。全然負担じゃないし、潔子ちゃんのほうが絶対忙しいから嫌だと思ったことはない。寧ろこれしないと人間として腐ってると思う。

「おっ清水ー部活いくべー」
「あっうん…じゃあ、よろしくね」
「おっけー」

菅原君に呼ばれてたたたっと駆ける潔子ちゃん。菅原に手を振られたからあたしも手を振った。
最近鳥野バレー部は頑張ってるらしい。潔子ちゃんからよく聞く。その話をしているときの潔子ちゃんはすっごいニコニコで、あたしまでもニコニコしてしまう。一年が面白いんだって言ってたなあ。

「よーし、やるか」

腕をまくって、作業を始めた。

*

「おわったー」

すっかり日も暮れたようだ。目が疲れたので眉間を揉もうとめがねを外した。あー…とおばさんのような声を出して片付ける。これを先生に提出して…よし、行くか。ガタッと立ち上がり、プリントを先生に持って行った。

そのまま下駄箱まで行ってローファーに履き替え、帰ったら勉強しようと重いながら校門を出た。坂を下りていく途中で、漸く気づく。

「めがねを忘れた…!」

すっごい根本的なモノを忘れていた。なんか足りないなって思ってたんだけどこんなことになるとは。よくかけていてメガネメガネと探すのは見るけど分かりやすく机の上においてそれに気づかずここまで来たのは初めてだ。あー、めんどくさいけどとりに帰らないと…。ゆっくりと、一歩ずつ歩き始めた。


「あったー」

ってまあ、机の上に置いたんだけど。ゆっくり歩きすぎてすっかり暗くなってしまった。まだバレー部やってるかな。もう終わりそうだったら潔子ちゃんと帰ろうかな、と思って体育館まで足を運んだ。

「青木!」
「あ、菅原君だー」

ぱたぱたと手を振って、「潔子ちゃんはー?」と聞くと、着替えに行った!とニカッと笑っていった。よかった、丁度終わってたみたい。じゃあここで潔子ちゃん待とうかなーと地面にあった石を蹴った。

「おっスガさん彼女スか!」
「ちげーよ。友達」

わっ何か元気そうな子達がたくさんでてきた…。すごいなあバレー部って。練習終わって疲れてるはずなのに、元気だなあ…って思ったらまた入っていった。もしかしてまた練習するのかな?だとしたらすごいなあ。ちょっとあたしも運動部入ればよかった。

「あれ、真由子」
「あっ潔子ちゃん。一緒にかえろー」

出てきた潔子ちゃんのほうに駆け寄った。潔子ちゃんは笑って「いいよ」と言ってくれた。「この時間まで作業してたの?」と聞かれたので「めがね忘れてとりに帰ったらこんな時間」って言ったらまた笑った。そして帰ろうとしたら、後ろから足跡。誰だろう。まあバレー部だけど。後ろを振り返ると。

「あっ清水、じゃあな」
「東峰。ばいばい」
「えっと…青木さんも」
「えっあ、うん」

えっまって東峰旭があたしの苗字を知ってる!?あ、菅原君が言ったのか。いやそれにしても、え?あたしにまで声かけてくれたの?え、待って待って。これがあたしたちのファーストコンタクト?すっごいしょぼいんだけどねえ。待ってよ、話すんならもうちょっと…「真由子?」あっ。

「ご、ごめん。かえろっか!」
「うん。それにしても本当にだてメみたいだよね、真由子のめがね」
「あ、あはは…一応今風のやつにした…」

ダメだ、話が入ってこない。
だって東峰旭、あんなにスマートに話しかけてくるんだから。

20150916

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