「青木さん、これ教室もって行ってくれないかな」
「はい」

職員室、担任にノートの束を持たされあたしはフラフラしながら歩いていった。
もしここで、東峰旭にあったら、半分もってくれたりするかなって考えたけど、東峰旭は出てこない。
やっぱりな。人生そう上手く行かないよね〜。はぁ、とため息をついた。

「真由子」
「あっ潔子ちゃん」

ふらふらと潔子ちゃんのほうへと歩くと、どうしたのそれ、と優しく声をかけてくれた。

「ノートが…重い…」
「貸して、半分もってあげる」

優しいな、潔子ちゃん。そこらへんの女子よりも美人だしそこらへんの男子よりもかっこいい。はあ、結局東峰旭は来てくれない。

「今日の小テストの勉強まだしてないんだよね。本当やばい」
「私分かるから教えてあげよっか?」
「お願いします!」

キラキラと羨望の目で見ると、潔子ちゃんは笑った。はー、笑った顔とか可愛すぎるよね。あっと、あともうちょっとで教室だ。潔子ちゃんが着てくれたおかげで助かった。結構重かったんだよね。

「あっ清水」
「…東峰」

えっ東峰旭?ぴくっと体が反応したけど、体は正面を向いたまま。なにやら東峰旭は潔子ちゃんに用があるみたいで。あたしは心臓バクバクしたまま、ぎぎぎと横を向いた。
わっ近いでかいやばい!ほんと怖い!へなちょこらしいけど怖い!どうしようこの距離はダメだ話しとかできないとりあえず離れよう…。

「潔子ちゃん、先行ってるね」
「あ、うん」

潔子ちゃんに話しかけたあと、東峰旭とまた目が合った。絶対今、あ、あのときの人だとか思ってる。あたしのことは忘れてほしい。別にあたしは、まあ、ちょっとだけだけど、東峰旭と話したいと思ってる。だけど、あたしはやっぱり傍観してるだけでいい。だってこんな近かったら話できないもん。何で潔子ちゃんが話できてるのが本当謎なんだもん。

「あー…あたしがもっと身長高かったらな」

びびらないで、東峰旭とも話せて、傍観なんてしてないんだろうな。あたしは所詮みてるだけで、東峰旭のパーソナルスペースまで入る事なんてできないんだろうな。
そう思ったらすっごい辛くなって、一人ごちた。

「本当いいよ、東峰」
「いいって。結構重いじゃんこれ」

え?と思って教室の外を見ると、潔子ちゃんの分を東峰旭が持っていた。ぎゅっと自分の袖を掴む。あたしのは、持ってくれなかったのに。そりゃあ、話したこともないし仲良くないけど。まあ、そうだけど、仕方ないけど。でもなんかすっごいモヤモヤして仕方がなかった。


20150916
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