東峰旭はきっとあたしより女子力高いと思う。話した事ないけどそんな感じするもん。一日一回は東峰旭を見ている気がする。何か目につくんだよなあ。大きいし、何かと廊下出てるし。はあ、何かあの身長羨ましいなー。ほしい。あんぐらい高いと何見てるんだろうなーって思うわ。はあ、やっぱり不良にしか見えない。残念。

「また旭みてんの?」
「わ、菅原君」

ひょこっと隣に立ったのは菅原君。太い眉毛が可愛いなあー。ていうか和むよ、凄く。

「旭見て楽しい?」
「楽しいね。何かと動いてるしあの人」
「喋ればいいじゃん」
「無理」

話したことないのに急に話しかけるとか無理。なんだよこいつって思われるじゃん。菅原君は笑って、「旭ー!」って呼んで手招きした。え、ちょっと。

「どしたスガ」
「あのねー、こいつが…ってあれ?」

あたしは一目散に逃げた。だって話すとかいい。あっちはあたしのこと知らなくていい。いいの、あたしはただ傍観してるだけでいいから。
菅原君はあたしをキョロキョロと探していた。ごめん、でもやっぱり無理なもんは無理だ。

「だって話できないよ…」

あんな巨体、近くに来ただけで後ずさりしてしまう。あの人のことを思いだして。
しかもあの顔。間近でみたら迫力あるだろうね…。
遠くで見てる分にはいい。大きく見えないから。でも、近くだったら正直言って怖い。いや、じゃあなんで見てるのって話だけど、東峰旭は面白いんだよ!ただ図体がでかくて話すのは無理だけど!
…それでもあたしは東峰旭を見る。ちらりと菅原君と東峰旭を見ると、あたしのことは忘れて笑いながら会話をしていた。うんうん、あたしはそれを見るだけで十分なんだ。これでいいよ、あたしの役目って感じだから。

「おーい青木ーでてこーい」
「さっきから誰よんでんだ?」

うわあああよぶな!あたしの苗字を呼ばないで!東峰旭にあたしという存在が濃くなっていくから!いやまだないようなもんだけどさあ!
ドキドキしながらその場を見たけど菅原君は首を傾げていた。東峰旭も誰だって聞いてたし。菅原変なこと言うなよ〜!

「青木だよ。お前の隣のクラス」
「へー」
「見たことあんだろ」
「顔見なきゃわかんないな」

うっ。見ないでいいよあたしは影の存在でいいんだから。菅原君はまた考えだして。それ以上余計なことを言わないで!

「ま、旭が廊下いたら青木もいるだろうから」
「それどういう意味だ?」
「だから」
「わーー!やめろーー!」

遠くから叫んだ。菅原君はニヤッと笑って東峰旭にあれあれと指差した。あたしはハッとなって急いで後ろを向いて教室に戻った。

「…くっ…はあ」

東峰旭と目が合ったその瞬間、あたしはヤバイと思った。
綺麗な瞳してたな…。

20150912

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