「わっごめん」
「大丈夫です…っわあ!」

ノートを運んでいたら誰かにぶつかった。目の前には巨漢が。しかも貫禄ある。慌ててノートをとろうとすると巨漢もノートを持って渡してきた。びくっと震えてノートをもらった。

「ご、ごめんなさいいい!」

そう言って下級生は去って行った。残された巨漢、名前は東峰旭。

「…何してんだか」

あたしはそれをみていた、しがない傍観少女Aと言ったところだろうか。


東峰旭とは面識がない。
ただ、存在を知っている。いろんな噂が飛び交っているのだ。例えば東峰旭は留年しまくってるとか、不良のトップだとか、先生脅してるとか。根も葉もない噂だけど実際に見てみると確かに長身だし老け顔だ。怖い印象を持たれても仕方ないとは思う。だけどそれは下級生だけが思っていることで。同じ学年のあたし達はあいつの本性を知っている。

「わ〜蝶だ〜」

平和ボケしているあいつはぽーっと空に舞う蝶を窓から見ている。ぱっと見窓を睨んでいる不良に見えるがよく目を凝らすとそうでもないのだ。東峰旭は今日もぼけーっとしている。

「おいこら旭!ぼーっとしてんなよ!」

あ。澤村だ。

「ええっ俺外も見ちゃだめなの…?」
「そんなんだからへなちょこなんだよ!」

あたり厳しいなー。東峰旭びくついてるし。しかし澤村東峰旭の前だとキャラ変わったように厳しくなるな。面白い。あ、菅原君が間に入った。バレー部仲いいなあ。てか、あたし見すぎじゃん。そろそろ教室もどんないと潔子に何してたのって聞かれちゃう。もうちょっと見てたかったけど諦めよう。

「青木〜」
「はーい!」

なんか菅原君に呼ばれた。見ると手を振ってた。なんだ、あたし見つけただけか。あたしも軽く手を振って澤村と東峰旭を一瞥した。澤村はなんだお前かって顔してて、東峰旭は澤村にびくついててあたしを見てなかった。
…なんか残念。

20150909
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