例えばだけど、今ここにいるあたしが東峰旭に話しかけたらどうなるかな。
東峰旭は笑って話してくれるだろうか。…ううん、きっとそんなことしないだろうな。吃驚されるだろうから、やめとこ…。

「…わっ!」
「わあ!」

いきなり手が出てきて吃驚した。ドアの隅から出てきたのは菅原君だった。吃驚して心臓がばくばくいってる。

「まーた旭見てたろ」
「み、見てないです…」
「嘘つけダテめ!」
「菅原君までそういう…」

そんなにメガネ大きいかな。とってメガネをじっくりと見ると、菅原君はキラキラした瞳であたしのメガネを見て。おそるおそる「かける…?」と聞くと「かける!」と少し興奮気味に返事が返ってきた。何だろ、澤村も菅原君もメガネ好きなのかな。

「どうぞ」
「ありがとう!…うわー!めっちゃくちゃ見える!」
「あはは、大げさ」
「いやマジだって……旭ー!」

ぎょっと菅原君を見る。や、なんでそこでさ、澤村も菅原君も東峰旭を呼ぶわけ!?本当に意味がわからないんだけど!みんな東峰旭大好きだな!

「どうしたー?」
「ちょっときてきて!」

東峰旭はゆっくりとこっちに向かって歩いて来て、なんかデジャヴ。
菅原君はあたしに「かけさせていい?」と聞いてきて、あたしは「やめといたほうがいい」と言ったけど、東峰旭はやってきた。

「旭!これかけて!」
「え?…あ、これ俺入んないやつ」
「え?入んないの?」
「おう…」

あわわ、やめて、傷をえぐらないであげて…!菅原君はニコニコしながらあたしにメガネを返した。

「なんかお前らの身長差、いいな」
「…え」

ちらりと東峰旭を見たけどどっしりって感じで吃驚した。大分慣れてきたつもりだったんだけど…。
顔を上げると東峰旭と目が合って、へにゃりと笑いかけられあたしもつられて笑った。そんなあたしたちを見て菅原君はニヤニヤとしている。も、もう。

「お二人さんいい感じじゃないんですかー?」
「ちょっと菅原君、やめてよ」

慌てて菅原君を止めようとするけどニヤニヤは止まらないらしく。東峰旭が困るじゃん…!あたしは、困んないけど。むしろ嬉しいけど。でも、とちらりと東峰旭をみたら、少し顔を赤くしていて。

「そうだぞスガ、青木さんに迷惑だろ…」

そんな、そんな赤い顔で言われても効果ないよ。
菅原君は「おやおやー?」と東峰旭を覗き込んでニヤニヤして。な、何なんだこのノリは。

「ちょ、ちょっと菅原君からかうのはやめよ、ほら、東峰あさ…東峰君も真に受けないで」

優しくなだめるように言いながら東峰旭のほうを振り返ったけど、よく見たら耳まで赤くなっていて。なんだか、なんだかその東峰旭にキュンとしてしまった。

「…うん、そ、だな」

へへへ、と笑いながら後ろ髪を掻く東峰旭に、何だか耐えられなくなって「…あたしもう教室戻る!」と強引に教室に戻った。廊下から東峰旭の声が聞こえる。「あんなこと言ったら話にくくなるだろ」わ、話そうとしてくれてるんだ。「ごめんって」と全然謝った感じじゃない菅原君。
そっと胸に触れてみると心臓の鼓動が少しだけ早くて、東峰旭の顔が頭から離れなかった。

20150929



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