今日は天気が良いから外で吹こう。と私は楽器ケースを持って外に出た。白いTシャツに紺のジャンスカ履いて(したに黒パン履いてる)履きやすいサンダル履いてキャップ被って、本当暑い。まだ夏が来たばっかりなのにね。家から徒歩で10分。近くには木ばっかりで民家はないけど道路がすぐ近くにある。公園についたあたしは小さい子供が誰もいないかを確認して楽器を出した。マウスピースをはめこんでいざ滑り台へ。てっぺんにたってバジングを少ししてマウスピースで吹く。少ししたらチューニングを始めて、終わったら吹きたい曲を吹きたいだけ吹く。これが私流。しかも、こんな高いところから吹くなんて、高揚感溢れるし、あのアニメ映画を思い出す。そうだあの曲吹こう。
軽やかなテンポかつビッグな音量で。私はこの時が一番楽しい。少しだけ揺れてみたりして。よし次は今回やる野球応援の練習…は、いいや。他のやつやろ。あ、あのソロの練習しよ!

「ハルナー!どこ行ってんだよ!」

ハルナ?男の子の声。カップルかな。私は諦めて帰ろうとしたら、目の前に蝶が。「わあああ!」私は形勢を崩して、ぐらりと体が揺れた。あ、落ちる。ここの手すりっぽいやつ縦短いのよねー、なんて漠然と考えながら。てゆーかこれいくらそんな高さないからってやばくない!?わたしはもう無理だと楽器をぎゅっともった、ら。

「あ、れ…」

あんまり痛くない。とゆーか地面っぽくないし変な感触する。ばっとしたをみるとカッターシャツか見えてえ!?となると誰かが下敷きになっていた。急いでガバッと起きた。

「ごごごごごめんなさい!わあボール!とゆーことは野球部!?ごめんなさい肩とか大丈夫ですか腕とか!」

早口でまくしたて、無理やり起き上がらせて肩などをぽんぽんと叩いた。呆然と私を見るこの青年に、わたしはなんて言えばいいのやら。

「…女が降ってきたんだよな」
「ごめん今さっきまでそーゆー系統のやつ吹いてたからあれしか思い浮かばない」

あれはふわふわ浮いてたけどね!私の場合ズドンじゃないか。さぞかし重かっただろう。楽器をみると、綺麗に輝いていた。うんうん。この前ポリッシュで磨いたばっかりなんだから。

「大丈夫だった!?」
「倒れる直前にキャッチしたから…そこまで…肩も痛めてないし大丈夫です」
「良かったあ…ピッチャーって肩命だもんね」

パンパンと砂埃とって、楽器に息を入れる。ぼーっと私を見るからなに?と聞いた。

「なんで俺がピッチャーとか知ってんすか…」
「あ、ごめん適当。ピッチャーかなって」

それだけ言うとああ…と項垂れた。全く何なんだこいつは。「ハルナー!」ってまた彼氏が戻ってきた。ハルナちゃんどこ?

「ハルナ!お前何してんだ?」
「秋丸…」

え…カップルじゃなかったの。てゆーかこの人名前ハルナっていうの。…ん?聞いたことあるぞ。私の学校の…

「あー!君野球部のピッチャーのハルナくん?凄いってゆー噂の」
「噂はわかんねーけど、俺がハルナです」
「へええ。ふううん」
「なんかわかんないけど、俺お取り込み中?あっち行ってるよ」

秋丸と呼ばれる男はあっちに歩いて行った。…別にお取り込み中じゃないんだけどな。

「あーえっとハルナくん!どこもおかしくない?」
「はい」
「畏まらなくていいよ!私も同じ二年だもん。あ、武蔵野高校のね」
「あ、吹奏楽?」
「そうだよ。トランペットやってます」

かっこよく決めて見せると、へえーなんてあんまり興味無さそうに言うから、あたしはふうとため息をついた。

「ところでハルナ君の苗字はなんていうの?」

このまま馴れ馴れしいのはよくないし、苗字を教えてもらおう。

「榛名が苗字なんだけど」
「え、苗字がハルナなの!?」

驚愕。ずっと名前がハルナなのかと。それじゃかハルナって子が榛名くんと結婚したら榛名ハルナになるじゃないか。

「お前、ずっと名前だと思ってたのかよ…」
「うん…え、じゃあ名前は?ハルオ?」
「なわけねーだろ。元希だよ」
「…ふーん」
「んだよ。普通の名前だからってあからさまに態度変えんな」
「(図星…)ち、ちがうし!かっこいい名前だなーって思ったし!」

そう言うと、少しだけ照れて「ふーん」なんていうから、可愛いって思ってしまった。

「あ、私は柊実里っていいます!」
「おう」

よし、自己紹介終了。練習しなきゃ。

20150823

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