「はーるなくん!」
「おわっ」

朝練終わり、クラスに行こうとしてたら榛名君を見かけて勢いあまってタックルしてしまった。

「おおっとごめんごめん。おはよ!」
「…ったく、お前突然すぎんだよ」
「いやー、榛名君を見つけてしまったからね」
「……俺がいたから走って来たのかよ」
「うん、そうだよ」
「…そうか」

ちょっと顔が赤くなってる榛名くんが可愛い。…ん?…ていうか。

「なんで照れてんの?」
「は?…お前が、俺がいたから走って来たって言うからよ」
「えー?友達に挨拶しに行くのは普通じゃないの?」
「…は?」

何のことかよくわからない。私は友達少ないから友達にはべったりなのだ。榛名くんも同様で。

「榛名くん以外の男友達いないからさ!ついうれしくなっちゃってね!」

にかっと笑うと、榛名くんはぴしっと固まった。…あれ?何でだろう。私何か言ったかな。…まさか友達って言ったのがダメだったのかな!?俺はお前と友達になったつもりはないって!?そういうことなのかな!?

「ごごごごめんなさい榛名くん!」
「……え」
「わ、私が勝手に思ってただけだったんだよね。だから私一人舞い上がっちゃって」
「は?何が」
「え…だから、榛名くんが私のこと」
「榛名ー!!HR始まるぞー!」

榛名くんのお友達が榛名くんを呼ぶから、私の言ったことは途中でぶつ切りになってしまった。うわ、ほんとにやばい時間じゃん。私のクラス遠いから早く行かないとだ。「榛名くん、この話はえっと…」と早口 でいうと、なぜか今さっきより顔が赤くなっている榛名くんを見てなぜか止まってしまった。…榛名くん、熱あるのかな。

「えっと、熱あるなら保健室行きなね!じゃあ!」

今だに赤くなって固まっている榛名君に手を振って一人走り出す。最後まで言わなかったけどわかるよね。にしてもなんで顔が赤くなってたんだろう。…何だか私まで恥ずかしくなって顔が熱くなってきた。もう、やめてよね。

*

昼休み、購買でパンを買いに来た私は、紙パックのジュースを飲んでる榛名君に会った。私と目が合って、そらして目を泳がせてる。

「榛名君、今日調子が…」

しまった。ダメだダメだ友達面したら。私と榛名君は友達ではなかったんだから。きゅっと唇を薄くしてくるりと足を返した。パン、パンを買わねば。友達が腹を空かせて待ってるしね。そして私は列に並んだ。あともう少しで私だ!あ、来た、来たぞ!こいこい私の焼きそばパン!

「焼きそばパンください!」
「120円ね」

お金を渡して焼きそばパンをもらう。きゃっほーう!紅ショウガが美味しそうだー!るんるんとスキップしながら歩き出したらまだそこにいた榛名君と目が合った。ついにこっとしてしまったけどダメだ。友達じゃないからしてはいけない。いけないと思いながら榛名君の横を通りすがろうとしたら――

「朝のあれ、お前が思ってることあってるから」

腕をぎゅっと掴まれ、引き寄せられた。私は焼きそばパンをぎゅっと持ちながら、榛名君の瞳を見つめた。ほんのりと頬が赤く染まっていて、少しだけ色っぽい。…というか今の。

「ほ、本当なの!?嘘じゃない!?」
「…お、おう」
「よかったーー!じゃあこれからもよろしくね!」
「…おう」

まだ照れてる。ふふ、そりゃそうだよね。いざ言うとなったら大変だもん。私も口ではなかなか言えないよ。君とは友達だよって。

「じゃあお友達記念にまた飴あげちゃいます!」
「…は?」
「え?」

手を差し出したのでそこに飴を乗せるとまた放心している榛名君が。

「……友達?」
「え?うん。榛名君今言ったじゃん、お前がおもってることあってるって」
「あ、あー…そーゆー…。お前わざとやってんの…?」
「え?」

へなへなとそこに腰を下ろす榛名君にまた、首を傾げた。

20150829

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