もう一度ヴァイオリンをがんばろうと、空いた時間を見つけては練習に励んだ。がんばらないと、榛名くんもがんばっているんだから。
そうは言っても、私だって女の子。榛名君に会いたいとたまに思ってしまう。こんな時、なぜ違うクラスなのかと先生やら何かを恨んでしまう。
ぢゅーと野菜ジュースを飲みながら、教科書を片付け、次の時間の教科書を出していたら。
ぽん、と手が私の頭を叩いて、ゆっくりと見上げると、榛名君がいた。
「おはよう榛名君」
「おーっす」
「今日も暑いね」
「お前はそういうことしか言わねーよな」
今日も良い天気だね、とかさ。私はむっとして言い返した。
「手紙とかで最初に来るやつを言ってんじゃない!それがないと失礼でしょ!」
「俺はお前と手紙交換したつもりはねーよ!」
「うっさいなあものの例えよ!」
睨んできたからにらみ返すと、榛名くんは笑って、「ようやく調子戻ったな」って髪をわしゃわしゃと撫でて、そのまま教室へと戻った。
とくん、鼓動が聞こえた。
「あんたら付き合ってんの?」
すべてみていた友達。すっかり友達の存在を忘れていて、ぼぼぼと顔が赤くなる。
「付き合ってない…」
「付き合わないの?」
「……」
どう返せばいいのがわからなかった。
すきだけど、榛名くんのこと。付き合いたいっていうと、好きってことを友達にばらしてしまうということで、口ごもってなにも言えなかった。
「ま、いいけど。あんたの思ってることなんてお見通しなのよ」
友達がものすごくかっこよくみえた。
20150919
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