「あ…いや、ごめん…なんか熱くなっちまって」

違う、謝らせたいわけじゃないの。
急にそんなこと言われて、心が弾けそう。もしあの時私が落ちなかったら、榛名君と私は関わっていなかったかもしれない。あの時の出会いが嬉しすぎて、ただ榛名くんのいったことを頭の中で何回も思い出して、また恥ずかしくなった。

「…そ、ういってもらえて嬉しい」

それだけじゃないけど。
言葉を紡ぐのは難しくて、思ったとおりに言葉が出てこなくて、喉につまる。
こんな夜なのに榛名君の顔が赤くなってるってよくわかって、ああ、なんだか青春してるなって。

「…か、帰るね…」

おう、と榛名くんはさみしそうにいって。ごめんね、今の私にはこれがいっぱいいっぱい。何も言うことができない。ただただ、榛名君のことが気になって仕方なくて、これがなんなのかまだ私は分かりたくなくて、また俯いた。

きっとこの気持ちは、一言で言うと恋なんだと思う。

それを意識すると、今までしてきたことが途端に恥ずかしくなってきた。
榛名君の前で大泣き、榛名君とマネージャーが話しているのを見てイライラする。
…あのマネージャーと仲良かったなあ。
この気持ちを言うにはまだ私の心の準備が出来てなくて、どうしたらいいんだろうと思うまま、家に帰った。

トランペットは、音で気持ちを伝えることができるけど。
私はそんなことできるはずもなく、きっと言えないままだろう。
きっとこのままにしておくと、前みたいにはできないだろう。
榛名君はすごいと思う。気持ちをぶつけて、それでもへこたれなくて。私は答えをいつまでも出さないばかでずるい女だ。こんな女、好きになってくれるのなんて榛名君ぐらいだ。

ただただそのことを思って、なぜだか涙が流れた。

あなたが好きだ、榛名君。

20150919

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