2試合目も無事終わり、武蔵野第一が勝った。
はあ、武蔵野第一って結構凄いのかな。ていうか、榛名君が凄いのかもしれない。
そんな榛名君に告白された、私って…。
考えたら顔が熱くなる。だって榛名君に告白されちゃったんだよ私。しかも、何かいい逃げみたいなことをされて、私だってどうしたらいいのかわかんないよ。
とりあえず、あのときから私は残ることにしていてずっと榛名君と一緒に帰ってるけど、全然普通だし、それに何もない。
今日だって、これから榛名君と帰る予定だ。

「……これって一体どういう関係なんだろう」

一緒に帰るだけの関係?
ただ部活の相談にのってもらってるだけ?
何なんだろう、今の私って。

「おーっす」
「あ、榛名君」

歩き出す私たち。…ねえ、榛名君。何か改めて考えたら恥ずかしくなってきた。もしかして私榛名君を弄んでる?私は榛名君に対しての気持ちなんて榛名君には言ってないし、言う気なんてさらさら無い。なのに榛名君だけ気持ちをぶつけて、私はそれを知っていて、それで一緒に帰るなんて…。

「…ねえ、榛名君」
「何だ?」
「…えっと」

なんていえばいいんだろう。
私と一緒に帰れて楽しい?これは違う。私と帰るのどう思ってる?これも答えにくい。うーん…。私と帰るのめんどくさくない?えー…わかんない。

「何?」
「……ちょっとまって」

だああどういえばいいんだ。うーん、とりあえず、一緒に帰ってくれてありがとうって言っとこうか…。

「いつも一緒に帰ってくれて、ありがとうね。えっと、私を待ったりとか送るとか…めんどくさくない?」

あ、これめちゃくちゃ上手い返しだ。これなら聞ける。

「全然めんどくさくねえよ。それに…嬉しいし、お前と帰れて」
「へっ…」

ボンッ!と鳴るように顔が熱くなる。だって、今、榛名君が、嬉しいって。私と一緒に帰れて…。チラりと榛名君を見れば、榛名君も顔を赤くしていて、何だかもっと顔が熱くなってきた…。

「…なんか、そういうこと聞くのずりいと思うわ」
「ずるい?」
「お前、俺の気持ち知ってんのに」

まだ顔が赤い榛名君はそっと私を見つめて。
ああ、そうだな、私ってずるい。
分かってたはずなのに、榛名君の口から聞きたくて、わざと聞いてしまった。
ねえ榛名君、私今すごい安心してる。何でだと思う?

「榛名君は、何で私のこと好きなの?」

榛名君はそうだな、と頬をぽりぽり掻いた。

「楽器とかに対して真面目なとことか…会ったら話しかけてくるとことか…」
「ふうん」

そうなんだ、まさか私のこと好きになってくれる人がいるなんて。
ていうか私どうなの。何で好きなのって聞くって。榛名君も言っちゃってる。何か私って凄いいやな女。気持ちばっかりきいて安心してる。自分の気持ちは何も言わないのに。
それから無言が続き、私と榛名君が分かれる道が来た。
私はピタりと止まり、榛名君に向かって笑った。

「またね」
「おう」

くるりと踵を返し、はあ、とため息をつく。これから自己嫌悪が始まるだろう。長くなるだろうなあ、と頭を落としていたら、腕をぐいっと引っ張られた。

「榛名くん…!?」
「ごめん、今さっきの嘘!いや嘘じゃないけど!好きだけど!…一目惚れなんだ!」

え。
星が、私の頭に落ちてきた。

「あの時、滑り台で吹いてるのを俺は見かけて、でも太陽の光で顔がいまいち見えなくて、ずっと見てたんだ。それで、お前は落ちてきて…。吃驚したけど、俺の心んなかにお前は土足で入ってきて…それで、俺の頭の中で誰かが言ったんだ。『あいつを手に入れろ!』って…」

どくん、どくんと心臓の音が聞こえる。
ねえ、榛名君。それってあれじゃないのかな。つり橋効果って奴…。でも言わない。それを言ってそれもそうだって思われたら嫌だから。やばい、私。

「そ、そうなんだ…」

きっと今、顔が真っ赤なんだろうと思う。どうしよう、榛名君のが移った。

20150919




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