榛名くんに言われたあと、色々調べてみた。そしたら、吹きすぎて高音が出なくなったりはあるらしい。よかった、多分それだ。少し口を休めばいいんだ。それか口を冷やしたりしたらいいのかな…。うん、それでいっか。…明日、会ったら榛名君にお礼を言おう。
まだ目のしたがぶくりと腫れていて、目も少し赤い。久々だなあ、こんなに泣いたの。しかも榛名君に慰めてもらうなんて。
…でも、優しかったなあ。

*

次の日。
私は榛名君のクラスにやってきた。…けど、なんか恥ずかしくて声がかけれない。

「…あの、榛名君呼んでくれないかな」
「榛名?おーい!榛名ー!呼んでるぞー!」
「ちょ、声おおきい…」

いきなり大声で呼ぶから心臓ばくばくしてきたじゃん。榛名君は席で寝ていたがこの男子の声でむくりと起き上がり、目をこすりながらこちらを向いた。…あ、目が合った。
榛名君はすぐ立ち上がり、小走りでわたしのほうにやってきた。男子はもういない。少しだけ嬉しそうだったから、なんか照れてきた。

「ど、どうしたんだ?」
「あ、えっと…昨日のこと…改めてお礼を言いにきました。ありがとう」

深く頭を下げると、「ばか、しなくていい」とこつんと頭を叩かれた。

「困った時はお互い様だろ?」
「でもすごい元気になったし…」
「いいよ、別に」

ぽりぽりと頬を掻く榛名君。やっぱり照れ屋さんだなあ。

「用ってそれだけ?」
「うん」
「じゃあもう帰んの?」
「そうなるね」

そういうとあからさまに嫌そうな顔をした榛名君。榛名君て結構顔に出るタイプなのかなあ。

「せっかく来たんだしよ…その、もうちょっと話してってもいいんじゃねーか」

口を尖らせてぼそぼそと喋る榛名君に私は笑った。何か可愛いなあ、榛名君。

「じゃああとちょっとだけね。てかネクタイ曲がってるよ」
「え?…うお!ほんとだ、ありがとな」


榛名君のこと、少しだけ見る目が変わったかもしれない。

20150912

戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -