今日は体育館の点検とかで部活は休み。彼女のほうもなんと部活が無いらしく放課後デートをしようと計画だてた。そして今、スタバでキャラメルマキアートをすすっている彼女に笑顔が零れた。

「…堅治、ニヤニヤしてる。キモい」
「はっ…はぁ?何言ってんだよいつもかっこよくて死にそう〜とか言ってるくせによ」
「言ってない」

しかも似てない。と彼女は言った。『いつもかっこよくて死にそう』の部分を彼女風に言ったら怒られてしまった。だけどそんな彼女も可愛いと思う。名前は自分から抱きついてきたりするくせに、俺がこうやってニヤけてたりするとキモいだの言ってくる。

「…堅治のことかっこいいって言ってくる女の子が最近増えた。どうにかして」
「そりゃ俺がイケメンだから仕方ねーな」
「こういうこという男だからって言ったらファンも減るかな…」

おいおい、ファンまでいるのかよ。女子高怖ぇ。こういうこと言う男、って。まあそこは流しといてやるとして。だけどこっちもそんな感じだ。見せてくれとしつこかったから見せたら可愛いだのお前には勿体ないだのうるさかったから二度と見せないのを誓った。名前がかわいいのは充分承知だけど、あんまり言われるのは好きじゃない。

「…名前が可愛いからいけねーんだな」
「…いきなり何を言い出すの」
「別にー。褒めただけだろー」
「そんなこと言って、堅治もかっこいいよ」
「…お互い褒めるのやめよ」

ちょっと恥ずかしいわ、と言うと彼女は笑顔を見せた。あまり見せない彼女の笑顔に不覚にもキュン、と来てしまった。そんなところが凄く反則だと思う。その笑顔は、俺以外にはあまり見せてほしくないな。…なんて、思ってみたり。

それからスタバから出て、うろうろとふらつく。彼女が飲みたいといっていたものも飲めたし、俺的にはもうやることが終わったわけだけど、だけど彼女はまだ物足りないみたいだ。

「どっか座って話したいな」
「寒いからヤダ」
「…可愛い彼女がお願いしてる」

ぽこ、と俺の腹を殴る名前にクスりと笑って「ハイハイ」と頭を撫でた。そうすると彼女は黙って「分かればいい」なんて王様みたいにふんぞり返って。しかも嬉しそうだし。

「ここらへん座れるとこあったかなー」
「あ、海岸あるよ」
「はー?寒いじゃねーか」
「私が暖めてあげるよ」

そう言ってぎゅっと手を握ってくる名前。相変わらず手だけはクソ暖かくて、はあ、とため息をつきながらも「仕方ねーな」と言っている俺も随分と甘いと思う。


「おい二口ィ!昨日お前が彼女と歩いてるところ見たぞ!お前そんなんでバレー部引っ張っていけんのかよ」
「あっ鎌先さん自分が彼女いないからってイライラを俺にぶつけるのやめてくださ〜い」

ニコッと鎌先さんに笑いかけたらピキッと青筋を立てた鎌先さんは「んだとコラ…!」と手をあげようとしたので「怖いなぁ」なんて笑っていたら「コラコラコラ!やめなさい!」と後ろから茂庭さんが鎌先さんを羽交い絞めした。
何とかおさまって、それをずっと笑いながら見ていた俺。相変わらずクソ生意気だと思う。

「ちなみにそこに俺もいたんだけど、なんていうか…幸福オーラ?っていうのがすげぇ放出されてたぞ」
「…は?俺がですか?」
「どっちも」

仲良いんだな〜なんてほっこりする茂庭さんとケッとふて腐れた鎌先さん。…に対して、少し顔が赤くなったのを隠すために「俺帰ります」と早口で言ってその場から離れた俺。

…まあ、うん、あってるけど。幸せだし、俺。


20151008



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