同じクラスの田島悠一郎は今日も元気だ。わははと友達と喋っていたと思ったらもう寝ていた。そういえば田島っていつも寝てるなー。起きたと思ったら「次なんだ?」って欠伸しながらいうからこっちも気が抜けちゃう。

「原田〜」
「もー、何?」
「肩もんでー」
「はあ?何であたしが…」

だけど田島はもうあたしに背中を向けていて。仕方なくて揉んでやると、「おおお気持ちいい…」なんておっさんみたいな声出してるから「気持ちわるいなー」って言うとアハハって笑った。

「お前らほんと夫婦みたいだよなー」
「ちょっ泉っやめてよ!こいつと夫婦とか!」

バシッと背中を叩くと「いてー!」と叫んでぐりんとあたしのほうに顔を向けた。か、か、顔が近い!涙目で見られても困る!後ずさりをしたら肩を掴まれた。

「お前〜〜もっと優しくしろよ!」
「なっ…何よしてやってるのに!」

ずいっと顔を近づける田島に、あたしは視線をそらしながら反抗した。田島ってパーソナルスペースを土足でずかずか入ってくるんだから。あたしはずーっとドキドキしっぱなしなんだよ、本当に。田島は全く…といいながら「続きやってー」とまた顔を後ろに向けた。あ、顔みれないや…。はあとため息をつきながら肩を揉んであげる。はー、身長大きくないけどたくましい体してるなー…。だ、抱きしめてほしい。腹筋見せてほしい。お、お姫様抱っこしてほしい…!

「原田〜?手止まってるぞ?」
「あっ…ご、ごめん」

ダメダメ。そういう邪念は捨てなきゃ。だって田島はいっつも野球頑張ってるもん。あたしは何もしてないし。こんなの思ってても意味ないし。田島は凄いんだって泉からよく聞く。あと、三橋君も凄いって聞くなあ。いいなあ。あたしももっと近くで田島を見たい…。マネージャーとかはよくわかんないしきっとあたしはバテるだろうから無理。迷惑かけるぐらいなら…なんて思ってたら、もう夏が始まりそう。はああ、もう。

「おいい原田!いてえよ!」
「あっごめ…」

パッと手を離すと、田島は顔だけ向けて、どうしたんだよー。とか言いながら体ごとこっちに向けた。パッと視線をそらしてきゅっと唇を噛む。せめて学校では田島をゆっくりさせたいのに、逆にしんどくさせてるばっかりなのかな…。

「原田!何かあったのか!?」

バッと手を掴んで、真剣にあたしの目を見る。た、田島ぁ…。

「何もないから手離せ!ばか!」

顔を赤くさせて開いてる手で田島の手を叩いた。「いってえ!」と田島は言ったけど、やったあと後悔した。もしこれで野球ができなくなったり…いやいやそれはないよね。てか!田島があたしの手をつかむのがいけないんだから…。

「原田ってすぐ怒るよな〜」
「う、うるさい」

田島がそういうことするから、あたしだって怒っちゃうんだ。だって、あたし田島のことが好きだから。


20150831
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