「タカくーん、やっほー」
「お、八重」
トイレから出て教室に帰ろうとしたら、阿部隆也がいたから話しかけた。
タカ君とは小学校から一緒で、割と仲がよかった。
「何か久しぶりだねー!」
「同じ学校なのに全く会わないな」
「まあクラス遠いしねー」
「お前何組だっけ…あ、三橋と同じか」
「うんうんそうだよ!野球部面白いね〜」
何か久しぶりだなー、会話するのも。
タカ君と話すのすっごい安心するなー。さすが小学校からの腐れ縁。
「あ、ちよちゃんだ!ちよちゃーん!」
「あ、八重ちゃん…」
「お前篠岡と知り合いなのか?」
「友達だよー」
えへへ、と笑いながらちよちゃんに手を振るとちよちゃんも手を振ってくれた。そして、あたしとタカ君2人ともを見て、えっというような顔をした。え、どうした?
「二人はお友達なの?」
「小学校からの腐れ縁だよ〜ね、タカ君!」
「(た、タカ君…)そうなんだ」
「ここまで来たら離れれねえんじゃね」
「きっもいこと言うなータカ君はさー」
「うっせえな」
「(な、仲良い…もしかして、八重ちゃんは阿部君のことが…?)」
何かチヨちゃんがじーっとあたしをみて睨んでる。え、どうしたどうした。ちよちゃん?って聞くと「な、なんでもないよ!」と言ってパタパタとかけていった。どうしたんだろう。
「そいじゃ俺もそろそろ教室帰るわ」
「あ、うん!ばいばい!」
タカ君と喋るの久々だったな〜は〜よしかえろう!と後ろを振り向くと。
「わった、田島!」
「…お前阿部と仲良いんだな」
「い、いつから」
「最初っから」
「言ってよ…てか何でタカ君も言わないの」
「…そのタカ君って何」
「え?」
「俺の事は田島なのによー」
「…は?」
い、いやいやいや。
田島は田島じゃん。タカ君がダメって何?
もしかして田島も名前呼ばれたいの?
「タカ君とはちっさいころから一緒で苗字に直せなかっただけ…」
「俺の事も悠一郎って呼べよ」
「ぜったいやだ」
恥ずかしくて名前も呼べなくなって話せなくなるとか絶対嫌だもん。
「はー!?わがままだなお前!」
「いやあんたでしょ」
ようやく歩き出すあたし達。つーか何で田島がいんの…って思ったけど田島もどうせトイレだろう。
「てか何で阿部と張り合ってんの」
「…原田が阿部と仲いいからむかついた」
「…は?」
どういうことよ、ほんとに。
あたしは少し笑って、「意味わかんない」と言ったら、田島はむっと口を尖らせた。
「にぶちん!」
「え?」
そう言って駆け出す田島の背中を見て、あの背中を抱きしめたいなと思いながらもあたしも走り出した。
20150914
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