Bitter Love | ナノ
「あっ二口、お前やっぱりあの子と付き合ってんじゃないのか?また見たって俺の友達が」
「ああ、付き合ってますよ」
「えっまじ!?」

茂庭さんの吃驚した顔超ウケるー。なんていうとぷんすか怒るから面白い。「大体っ俺は心配だったんだぞっ騙されてるんじゃないのかって!」は?騙される?

「どーゆーことっスか」
「だって俺の友達、その、二口の彼女超可愛いっていうから二口騙されてるんじゃないかと…」
「…ぶふっ…ははは!」
「な、何だよ!」
「もし騙されてたら笑いますよ」

だって、あんなピュアな子みたことないし。思い出してまた笑ってしまった。キスするのは平気なのに髪に触るのはダメなんだ。全く、あんな綺麗な髪してたら誰でも触れたくなっちゃうよね。

「そういえば今度デートします」
「しねっ!」

涙目で言ってくる茂庭さんに、また笑った。

*

「ホント寒い」
「それな。てかお前今日は待ってんのかよ」
「今日は渡したいものがあるから」
「この前のなんたらショコラ?」
「あれもう作んない。堅治まずいっていったの一生根にもつから」
「いやあれはさ、お前が調味料間違えたのがいけないんじゃん」

まだ付き合って日は浅いけど、段々俺の返しが雑になっていって、菜月も言い方がそっけなくなる。お互いそういう感じの人だってしって、俺はこっそり笑ったけどな。

「んで、何?」
「これ」

ガサ、と服を売ってるブランドのロゴが書かれた袋を渡された。開けてみると、大きめのグレーの手袋が入ってた。全体的にノルディックな感じが漂って、雰囲気がいい。

「…手作り?」
「そう」
「ありがとう」

少し照れくさくて、それ以上は言わなかったけど早速してみた。うん、あったけえ。

「本当はあの時渡したかったけど、渡せなかったから…」
「あ…」

そういえばあの時渡したいものがあるとか言ってたな。これだったのか。そういえばよく俺は寒いといってポケットん中に手つっこんでたな。

「でもさ」
「ん?」
「俺、手繋ぐのも結構好きなんだよね」

俺はかたっぽの手袋を外して、菜月に渡した。そして、そっと菜月の手を絡める。

「菜月あったけえからさ、これでも全然いいと思うんだけど」
「…確かに」

菜月は少し恥ずかしそうに俯いた。こいつめちゃくちゃ可愛い。じわじわと暖かくなる手に俺は今まであったことを思い出した。この恋は、決して甘いものではなかった。だけど今こうして菜月の隣にいる幸せをかみ締めて、これからも菜月と付き合っていこう、と。そう思うんだ。
くしゅんってくしゃみをする菜月に、クリスマスにマフラーをあげようと思う。


20150825





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