◆蒼青時間軸→恐山(家に居る)
◆光源氏時間軸→邪魅のあと。夏休みに入る前。(奴良家に居候中)
◆蒼青夢主視点です


朝起きると蒸し暑かった。
おかしい。今は冬なのに。
今日は温かい日なのかな?
そう思いつつ目をこすりながら目を開けると、知らない天井が目に入って来た。
いつも見る白い天井ではなく、木目の入った天井。

……はい?

思わずガバッと起き上がった。そして周りを見回す。
知らないタンス。知らない机。そして知らない模様の襖。
朝の光刺す障子なんて更に知らない。
私の部屋は障子なんてもの無い。

どこ、ここ?
確か、昨日は恐山からリクオ君と一緒に帰って来た後、きちんと自分の部屋で布団に入ったのに、今は違う所に居る。
どういう事?
もしかして、知らない間にまた敵に捕まってしまった?

不安が心を占め出す。

もしかして、晴明? それとも御門院?

考え込んでいると、廊下の向こうからパタパタと軽やかな足音が近づいて来た。

誰!?

身体が緊張で強張る。
その足音の主はこの部屋の前で止まると、トントンと軽く障子を叩いて来た。

「起きてらっしゃいますかー? 響華様」

可愛い女の子の声だ。
すごく聞き覚えのある声。
と、スッと障子が開かれた。そこに立っていたのは、白い着物の上に割烹着を着た氷麗ちゃんだった。

え? どうして氷麗ちゃんが?

ホッとするが、更にワケが判らない。
自分の部屋で寝たのに何故ここに私はいるのだろう?
混乱している私に気付く事無く、氷麗ちゃんは言葉を続けた。

「あれ? 今お目覚めですか? じゃあ、台所で待ってますね!」

氷麗ちゃんは、明るい笑顔を見せると障子を閉め、パタパタと去って行った。

なんで、台所?

私は首を傾げる。
でも、氷麗ちゃんなら、私がここにいつの間にか居た理由を知ってるかも。
私は台所に向かうべく布団の頭上の方に置かれていた制服に手を伸ばした。
と、そこでハタと気付く。
今は冬なのに、制服は夏物。

な、なんで? 今冬だよね??

でも、着替えるものはそれしか見当たらない。
タンスの中に他の服もあるかもしれないが、知らないタンスを勝手に開けるのはなんだか憚られる。
仕方なく、夏の制服を着ると障子を開け、廊下に出た。
なんだか見た事のある庭だ。

確か……確か……。あ! リクオ君のお屋敷にある庭!
と、いう事はここは、リクオ君の家?
じゃあ、氷麗ちゃんが居るのも当たり前かもしれない。
でも、なんでリクオ君の家で寝てたんだろう?

再び私は首を傾げる。

うーん……リクオ君は黙って私を奴良家に連れて来るはずないし……。うーん?
私はぐるぐる考えながら、かつて知ったる台所の方へ歩いて行った。







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