どこ行ってたのか、聞いた方がいいのだろうか?
取り敢えず出迎える為、奴良リクオ君の傍に行くと、いきなり奴良リクオ君に頭を下げられた。

「ごめんっ!」
「え?」

そして、目の前に差し出されたのはバラバラになった茶色の数珠だった。

「これって……」

昨夜、夜リクオ君に渡した、数珠?
なんでバラバラになってんだろ?

疑問に思いつつ奴良リクオ君の顔を見るとすごく申し訳無さそうな顔をして、私の顔を伺っている。

もしかして、あの後妖怪に襲われた?
そして夜リクオ君の身代わりとなってくれ、壊れたのかもしれない。
あの時、霊符が焦げていたように。

「そんな顔しないでも、大丈夫! 壊れたものは仕方無いよ!」

笑顔で励ますと、何故か奴良リクオ君の顔が赤くなる。
そして、赤い顔を俯かせると言いにくそうにまた口を開いた。

「だってこれ、有永さんの大切なものだったんじゃ……」

その言葉に、数珠の購入金額が脳裏をよぎった。
あ、はは……。でも、奴良リクオ君が助かった方がよっぽど良い。

「うん。でもそれ、お礼にあげたものだから、いいよ」
「でもっ!」

顔を上げ真剣な目をして、言い募る。
自責の念に駆られている奴良リクオ君に、私は首を振った。

「ほんとうにいいって。それより奴良君、清継君達知らないかな? 昨日の夜から姿見えないんだけど」
「……、あっ! いっけね!」
「ん?」
「ごめん、有永さん、ちょっと行ってくる!」
「奴良君?」

奴良リクオ君はそう言い残すと、また別荘を飛び出して行った。
慌ただしい。
でも、きっと清継君達を捜しに向かったのだろう。
見送る私のお腹がまたぐーっと音を立てる。

奴良リクオ君。早く、清継君連れ帰って来てねー!
ご飯、食べたいから!


数時間後、奴良リクオ君は清継君と島君と共に帰って来た。
そして、清継君は使用人さん達を呼ぶと、高級ランチをご馳走になる。
しかし残念な事にランチなので、ガッツリした超高級肉は出て来なかった。

期待してたのに……。期待してたのにー!

心の中で滂沱の涙を流す私。
そんな私を見ながらカナちゃんは苦笑する。

「残念だったわね」
「うん……。超高級肉……」
「あ、このアサリおいしいよ?」
「うん……」


そうして、清十字怪奇探偵団の妖怪修行は超高級肉への未練を残したまま、終わりを迎えた。
しかし、後日、匿名で超高級肉が自宅に届いた。

誰からなんだろ?

気味が悪かったが、お母さんはその小包を鼻で嗅ぎ安全なもの、と断言し、その日の食卓に乗せた。

うん。最高に美味しかったです。
送ってくれた人、ありがとう!!!







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