というか、私の事、違う女と言ってるって事は、その鬼女ともこんなことしてたって事!?

………っっっ

「さっき好きだなんて言ったくせに、ウソつきーーっ!!!」

バカバカバカ、カバカバカバ!!
リクオ君のバカ!!

「私のファーストキス返せーーーっ!」

バカバカバカと繰り返し、上に乗っていた夜リクオ君の下で私は暴れまくった。
暴れながらも胸の中に悲しみが渦巻き、涙がこぼれそうだ。

うー、うー、うー、でも、こんな事で泣きたくないっ!

と、夜リクオ君は突然私の両手首を掴み、私の動きを止め、その端正な顔をズイッと近づけて来た。
電灯の明かりを反射した金色の目が私を射抜く。
真摯な視線に思わず口を噤んでしまう。

「う……っ」
「舞香。オレはお前ぇだけしか、こんな事してねぇ」

思わず心臓がドキンと跳ね上がる。
と、傍で茶化すような男女2人の声が上がった。

「おーおー、良く言うよなー、鬼女抱きしめまくってやがったクセによー」
「キヒヒヒ、オイラーは、その子より鬼女の方が好みギャバ!」

だきしめ………っ

「抱きしめたっ!?」
「お前ぇしか抱きしめてねぇ」
「だって! エロリクオ君が鬼女を抱きしめたって!」

私がいつの間にか近づいてきていた2人を見ると、夜リクオ君も顔を淡島と雨造の方へと向けた。
そして平坦な声で2人に告げる。

「オレは舞香しか抱きしめてねぇぜ?」
「は? じゃあ、その女が鬼女に変身するっつーわけかー?」

すっとんきょうな声を上げる淡島に夜リクオ君は冷たい視線を向けた。

「舞香は鬼女なんかじゃねぇ。雷獣だぜ」
「「「は???」」」

淡島と雨造、そして無口なイタクの声がハモる。

ん、お、え?
なんで私が雷獣だって事で、信じられないって言うような声出されるの!?

「えぇええー!? こいつがあの鬼女ぁー!? 信じらんねー!!」

淡島が夜リクオ君の下に居る私を指さす。

そこっ! 指ささない!
ってか、鬼女って私の事だったんだ……。
ん? ん? ん? もしかして、自分自身に買ってにヤキモキしてたぁああっ!?
うわわっ、恥ずかしい!恥ずかしいったら恥ずかしいーーーっ!
私、痛い子だーーっ!

羞恥に心の中で悶えていると、淡島が腰に手を当てながら、こちらを覗き込んできた。

「でも、アンタがあんときの鬼女か。あー、鬼女の時と違って、良く見ねーでもフツーだよな」
「むーっ、そんな事自分が一番良く判ってるよ!」

だが、淡島はガウッと言い返す私の言葉をスルーし、夜リクオ君をじっと見た。

「なぁなぁ、リクオォ。そいつで本当にいーのか?」

無言で眉根を寄せる夜リクオ君に、淡島は自分自身を指さし、大きな胸を見せつけるように反らした。

「やっぱそいつ止めてオレにしろって! 胸も触り放題だぜー?」

反らした反動で大きな胸がプルンと揺れる。

…………、おっぱい星人のリクオ君の心、鷲掴み確定だ!

私はツクンツクンと胸が痛むのを感じながら、夜リクオ君を見上げた。

「リクオ、く……」







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