う、お、え? 

頭の中がフリーズしたみたいに真っ白になる。
何をされているのか頭が追い付かない。
ただ、柔らかくて熱いものが自分の唇に触れているのが判るくらい。

思考停止していると、その柔らかいものは一旦離れ、再び押し付けるように重なった。
角度を変え、唇を柔らかく食まれる。

その時になって私の思考はやっと戻って来た。
心臓もバックンバックンと暴れるように鼓動を強く打ち出す。

ちょ、ちょ、ちょーっ!? キスされてるー!?
なんでっ!?

「リ、ひゃっ!?」

声を上げようとした途端、上唇を舐め上げられた。
それだけのことなのに、なぜか舐め上げられた唇がジンと震え、背筋に一瞬痺れが走った。
思わず夜リクオ君にしがみついてしまう。
夜リクオ君は私にキスをしたまま私の手首を取ると、自分の首に回させた。
そして、熱い吐息が口の中に入って来た。

「ん、ふっ……」

熱い

口の中に入って来た濡れた舌が私の舌に触れる。
と同時にリクオ君が侵入して来た窓の方で、ガタンッと音が上がった。
「やべっ」という女性の声も聞こえて来る。

誰か居るーっ!?
リクオ君、ちょっ、たんまっ、たんまー!!

慌てて夜リクオ君の両肩を強く押す。
でもいつの間にか頭の後ろをガッシリ掴まれてて動けないっ!

「んむむむーーーっ!」

ちょっと、まって、ちょっとまてーー!
誰かいるーーーっ!
離してーーっ!!

暴れてもリクオ君の腕の中から抜け出せない。
と先ほどきこえて来た女性の声が再び上がった。

「おいおい、リクオぉ、なんか楽しそうな事してるじゃねーか。オレも混ぜろ!」
「オレも混ざりたいギャバー!」

その声に夜リクオ君は小さく肩を揺らすと私からゆっくり唇を離し、嫌そうに眉を寄せ声を発した人物の方に顔を向けた。

「てめぇら……、いいところで邪魔しやがって……」

私も夜リクオ君が視線を向けた方向を見る。
窓の傍に立っていたのは、羽衣狐戦で出会った、淡島にイタク、それに雨造だった。
淡島と天造はニヤニヤと笑い、イタクは憮然とした表情で腕を組みながら立っていた。

え? なんで遠野の3人組がここにいんの?
ってか、見られてた? 見られてたー!?
すっご恥ずかしいー!
穴があったら、入りたいー!!

羞恥に枕へと顔を伏せ、拳でボンボンと枕の端を打っていると、淡島が不思議そうな声を上げた。

「ん? そいつ京の鬼女と違う女だな。二股はいけねーぜ、リクオォ」
「キヒヒヒ、一人オレに回すギャバ!」

ん? 京の鬼女?
誰、それ?







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