なんだかお母さんの口から、冷たい言葉が飛び出た気がしたけど、気の所為かな?
だって、四国との戦いで、リクオ君の事見直したはず……

私は四国との戦いを思い出してみた。
………。
あれ? 見直した場面が全くない。
それより、私の方が周りに迷惑をたくさんかけてる。
お父さんにも。
お母さんにも。
リクオ君にも。
私、最低だーっ

思わずテーブルの上に広げたノートに顔を埋めた。
と、カナちゃんとリクオ君が心配そうな声を上げる。

「舞香ちゃん? 気分悪くなった?」
「大丈夫? 舞香ちゃん?」
「うん。自己嫌悪してるだけだから、大丈夫ー」

そう。特にリクオ君には迷惑かけて……。
ううっ、ホントにごめんなさいーっ

自己嫌悪で顔をなかなか上げられずにいると、突然バシャッという音と共に「うわっ」とリクオ君の驚いたような声が上がった。

え?
「どしたの?」

と、顔を上げるとそこには、オレンジジュースを頭から被ったリクオ君の姿があった。
その後ろに立っているお母さんが、口元に手を当てながら、「おや、手元が狂ってしもうた。すまぬのう」と言っている。
が、何もしようとしていない。

「わわっ!リクオ君、大丈夫!?」
「あ、はは。大丈夫だよ。舞香ちゃん」

笑ってくれているが、上着もびしょ濡れだ。
無理してる。絶対!

「ちょっ、お母さん、タオル!」
「タオル? はて、どこへやったかのう」
「……っ、上から取って来る! リクオ君、ちょっと待ってて!」

私は立ち上がると、リビングからダッと飛び出し自分の部屋へと向かった。
そして、タンスからファンシータオル(お母さんの趣味でこんなタオルばっかしか持ってない)を取り出すと、それを3枚ほどひっつかみ、リビングへ戻った。
が、リクオ君の姿が消えていた。

え?え?どこ行ったの!?

キョロキョロしている私に、カナちゃんが口を開いた。

「リクオ君なら、舞香ちゃんのお母さんがどこかに連れて行っちゃったよ」
「え? どこだろ?」

私は、リビングを出ると、辺りを見回す。
すると突然、脱衣所の方からリクオ君の叫び声が上がった。

「リクオ君!?」

私は思いきり脱衣所のドアを開けた。

「うわっ、舞香ちゃん!?」
「っっっ!?!?」

そこには、上半身裸のリクオ君が居た。







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