私は教室に着くと自分の席にぽすりと座り、腕を組みながらこれから起こるであろう先の出来事を考えた。

旧校舎が終わったと言う事は、次は何だっけ?
確か鴆という妖怪の屋敷が全焼して、原因やっつけてその後盃を酌み交わすんだよね。
これは、主人公の家の周りで起きる事だから、私には関係ない。
関係がありそうな出来事と言えば・・・なんだろう?
呪いの人形は、3組の前を通らなければ巻き添えになる可能性低いし、旧鼠事件はリクオ君の家に行かなければ、事件に巻き込まれない!
・・・・と、言うか清十字怪奇探偵団に近寄らなければ、怖い思いせずに本来の目的を遂行する事が出来るんだよね?

うん。本来の目的。

どうにかしてこの世界から元の世界に帰る事!
この成り代わりのパターンだと、精神だけ別世界に飛ばされたって事が多いんだよね。
て、事は、精神だけこの身体に入り込んだって事で、本来の精神を戻せば元に戻れると思うんだけど・・・
うーん・・・
精神世界の分野なんて管轄外なので、それ専門の本を取り寄せないといけないかもしれない。

そう考えているとふいに両肩にぽんっと手を置かれた。
誰かと思い後ろを振り返ると可愛い笑顔のカナちゃんが居た。

「やっほ。綺羅ちゃん、おはよー。何難しい顔してるの?」
「あ、カナちゃん。おはよー。ちょっと精神学的(?)な事を考えてた」
「ふーん? それよりトイレ行かない?」
「ん。いいよー」

私は深く考えず頷き席を立つとカナちゃんと一緒に教室を出た。
と、3組の教室の前で後ろからリクオ君が声を掛けて来た。

「おはよう!カナちゃん、九曜さん! あのさ、九曜さん先生が・・・」

リクオ君が言いかけたそのとたん、3組の教室の中から清継君の声が上がった。

「おや、家長さんに九曜さん。それに奴良君! 丁度いいところに! 君達! 今日はボクん家に集合だよー!」
「は?」
「何か悪い予感が・・・」

何事かと思い2組の教室を3人で覗くと、清継君が「呪いを実証してみせる!」と意気込んでいる姿があった。

・・・・

呪い=呪いの人形の図式がぴぴーんと頭の中で繋がった。
思わず私はリクオ君とカナちゃんの肩をガシッと掴む。

「良い?ここに私は居なかった!居たのは女装した灯!」
「「へ?」」

キョトンとするカナちゃんとリクオ君。
パスする気満々の私は、それじゃあっ!と言い、片手を上げ早々と教室へ戻った。
何事も無く無事教室に戻れてホッとする。
これで、怖い思いする事は無い。

帰りに精神学の本買って帰ろうと別の事を考えていると後から帰って来たカナちゃんから、放課後駅に集合だと伝えられた。


・・・
灯の所為にする作戦は失敗でした。

うん。無理はあったと思うけど・・・行きたく無さそうって察して欲しかった・・・

くっ・・・こうなったら、人形を極力見ないようにしよう! うん!!







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