「待て!」
その言葉と共にリクオは青年の姿をした妖怪に切りかかるが木の葉を切っただけ。
「!?」
そして、その青年は響華ちゃんを抱き抱えながら木の葉と共にかき消える。
何故、響華ちゃんが? 安全な所に居たはずなのに。
リクオは悔しさに拳を握りしめる。そんなリクオを見、下僕達は後じさった。
「わ、若……」
畏れが無意識のうちに溢れ出ていたのだ。
下僕達の様子に気付かずリクオは畏れを溢れださせたまま口を開いた。
「俺の女を……いい度胸だ。絶てぇ取り戻す。」
そして鋭い眼光を下僕に向け、足を翻した。
「てめぇら。終幕だ。帰るぜ」
待ってろ。響華ちゃん。
そして屋上のフェンス沿いには、変身を解き思いつめた表情のリクオがいた。
響華ちゃん……。酷い目にあってなければいいけど……。
酷い、目……っ
そんな事させないっ!
リクオは下僕達に向かって振り向く。
「首無。青田坊。カッパ。総員あげて奴らの根城を探してくれ!」
「「「はい!(へい!)若!」」」
響華ちゃん……。
リクオは拳をぎゅっと握り、強い目で前を向く。
絶対に、ボクが助ける!