−…万物を司る女神よ…。どうか、聖なる焔の光を……世界を救ってくれ…。




ゆらゆら…


 ゆらゆら……


まどろむ意識の中


聞こえたのは
暖かな声だった。




出逢いは、必然




「いってらっしゃい、メアリー!」


黒の教団では兄であるコムイが任務に出掛けようとしたメアリーに声をかけた。

そんなコムイにメアリーは行ってきます、と小さく笑いながら返事を返す。

この言葉は必ず帰ってくる、という一種の約束のようなもの。


空を仰いだら
何やら不穏な天気。


「雨にならないといいけど…」



口にした途端にポツポツと雨が降り始める。


ついてないわね…。
いつもは室長室止まりの兄さんが珍しく水路まで見送りなんてするから…
などと悪態をついて目的地に着くのを待つ。
その間にも
雨は本格的に降り始めた。






冷たい雨に身体から体温を奪われながらも アクマと戦闘し
今回の目的であるイノセンスを回収した。


「任務完了、ね…」


手にある重みに
確かに回収した事を確認し
メアリーはクルリ、と踵を返そうとする。


だが 簡単に帰れるわけもなく
再び 何体ものアクマがメアリーを囲んだ。


「!アクマ…!!」


驚きに目を見開いたメアリーだが直ぐに冷静さを取り戻し自身のイノセンスを発動させる。




「月影の舞姫…発動!」



メアリーの声に呼応するようにバチッ!と回収した筈のイノセンスから電光が走り始めやがて、一面を白く染めた。








「!?何…っ?」


一瞬の出来事。
何か大きな光が溢れたと感じた時には既にその光は弾けてアクマもろとも私を呑み込んでいた。






まばゆさは消えた
でも、眼を開けられない。



ここは何処?なんて思っても口も開けない。





感じるのは氷のような冷たさで、身体全体にツキツキと沸き上がる。



まるで雪に包まれたようだ、
なんて頭の片隅で思いながら
私は意識を闇に預けた。






「こっちからだ。」


「待ってよ、ジェイドぉー!危ないよ…っ」



「なら来なければいいだろ。」



メアリーの意識が無くなった頃、サクサクと音をたてながら二人の少年が現れた。



「これは………。」


「!ひ、人だよ!ジェイド!女の人だ!」




雪に覆われ眠る女性を見て
一人は慌て、もう一人は何やら楽しげに口許を歪ませた。






−女神よ……。
…預言に立ち憚ってくれ…。
そしてオールドラントに救いを……。




風に紛れて
響いた声は誰のものか…。





<To be continued>

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