ピンクの髪の小さな女の子とライガ。
そうよ、彼女には
渡さないといけないものがある。




それは彼女のお母さんの、最後の願い…。
私は、叶えてあげなくちゃ。


たとえ、彼女が敵であろうとも、約束は守る。
じゃなくちゃ、ライガクイーンに顔向け出来ないものね。





アリエッタ襲来



やはり、というべきか。
カイツールに行く為には、本来の道である橋が壊れてしまっている以上、フーブラス川を渡るしかないらしい。
そんな訳でメアリー一行はフーブラス川へと到着した。



「ここを越えれば、キムラスカ領なんだよな」

「あぁ、フーブラス川を渡って少し行けば…」

「カイツールという街があるわ。そこは非武装地帯。国境の砦であるカイツールさえ越えれば、もうキムラスカよ。」

「早く帰りてぇ…。もういろんなことがめんどくせー」

「ご主人様頑張るですの。元気出すですの。」

そう言うルークの足元にミュウがぴょんぴょんと跳ねながら声をかけていたけれど、ルークはそんなミュウを踏み付けて蹴り飛ばす。


「みゅぅうぅぅ」

「大丈夫?ミュウ」

ぽすん、とメアリーの腕に落ちたミュウはにっこり笑って「大丈夫ですの」と小さな手をぴっと高くあげた。

「ふふ、よかった」

「ありがとうございますですの、メアリーさんっ」

「いいえ、」



「……ふん、戦争屋だもんな。」

「えぇ、その通りです。」


ミュウと会話していたらふと聞こえたルークとジェイドの会話。
ルークにとって軍人は戦争屋、として認識されているのね。


「私も封印術(アンチフォンスロット)で能力が低下しています。これ以上の足枷は欲しくありませんからね。」


「―――………封印術……!?ジェイド、貴方も、封印術、かけられてるの!?」


「―――…おや、メアリー…聞いてしまいましたか…。……?貴方も…?」


さして驚いた様子も無かったジェイドだったけれどメアリーがしまったと思った時にはメアリーの言葉に引っ掛かりを覚えて眼鏡のブリッジを押し上げた。


「あ……えーと…」

「メアリー、貴女も、なんですか?」


「――――……、えぇ」


バツが悪いのか顔を逸らしながらもジェイドの言葉に頷く。


「なるほど…どうりであまり譜術を使わないわけですね。」

「ジェイドこそ……。」

「…ふむ。メアリー、解呪できそうですか?」

「時間はかかりそうだけど、大丈夫。」

「私もなんとかなると思います。」

「なら、良かったわ。」

苦笑を零し話の続きを促せば、ジェイドはルークにFOF(フィールドオブフォニムス)の活用方法を教え始める。
確かに覚えれば戦闘において役立つものね。



「と、いうわけです。理解できましたか?」

「つまり、同じ属性の技をばんばん使って力を溜めればいいんだろ?」

「……簡単に言えばそういう事だけど…」

「簡単に覚えりゃ、良いんだよ」


そんな会話をしながら、奥へと進めばメアリー達の前にライガが立ち塞がった。


「…ライガ!」

「後ろからも誰か来ます」


あのライガ……
もしかして…


「!妖獣のアリエッタだ。見つかったか…」


ガイの声に後ろを振り返れば、思った通りアリエッタがいた。


「逃がしません……っ」


「アリエッタ!見逃して下さい。あなたならわかってくれますよね?戦争を起こしてはいけないって…」


イオン様が一歩踏み出しアリエッタを説得しようとする。
アリエッタもイオン様の言う事は聞いてあげたい、けど…
私達はアリエッタのママの仇、だからアリエッタは私達を見逃せない、と。


「アリエッタはあなたたちを許さないから!地の果てまで追いかけて……殺しますっ!」

「アリエッタ、違うわ…。貴女の本当の仇は私だけ。彼等は何もしてない。」

「え…?」

「ごめんね、アリエッタ。私は貴女のママから、貴女に預かってるものがあるの」


そう言いメアリーは卵を取り出しアリエッタに差し出す。


「アリエッタの…弟…?」


「えぇ、そうよ」


アリエッタが卵を受け取った瞬間、大地が大きく揺れた。


「地震か……!」

「おい、この蒸気みたいなのは……」

「障気だわ…!」

「いけません!障気は猛毒です!」


辺りから溢れ出す障気。
イオン様の言う通りこれは猛毒。
そう思った時には身体が勝手に動いててアリエッタを抱きしめていた。


「……ぅ…」

「メアリー…!!」

「吸い込んだら死んじまうのか!?」


倒れたメアリーをジェイドが抱き抱え一行は逃げようとしたが地面が割れて戻れなくなってしまった。

「……っ」

思い詰めたようだったティアが譜歌を歌う。

「こんな時に譜歌なんて…」

「待って下さい、ジェイド…!これは、ユリアの譜歌です!」

暫くティアが歌えば障気は消え、地震も収まった。


「おい、ジェイド、メアリーは…」

「そんなに障気は吸ってないとは思いますが…」

「―――…アイツは見逃そうぜ」

殺気を向けたジェイドを見てルークは静かに呟く。

「見逃したらまた襲われますよ」

「でも、メアリーが庇ったんだ…!良いだろ…!」

「―――…ジェイド、僕からもお願いします。」

「……やれやれ。」


「ありがとうございます、ジェイド」


肩を竦めたジェイドはメアリーを抱え、先へと進む。
途中ティアがユリアの子孫だという事に驚きながらも、メアリーを心配そうに見つめながら。


〈 To be continued 〉

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