どうやって探そうかと思った時、ジェイドの『作戦名"骸狩り"始動せよ!』という声がタルタロスに響きわたる。



今のは、
ジェイドに聞いたタルタロスの非常用の合言葉のヒトツ。

"骸狩り"
これが作動すると左舷昇降口しか開かない。


なら、向かう先はそこしかないわね。



ガイ様、華麗に参上!!



メアリーがいる場所は甲板で、今は左舷昇降口以外全ての出入口が動かなくなっているために彼女は中に入る事を諦めて唯一の出入口である左舷昇降口がある辺りへとやってきた。

下をそっと覗き込めば、イオンと金髪の女性がいて、イオンは捕らえられているようだった。


「……あれは……魔弾のリグレット…?」


タルタロスに、六神将が二人も襲撃してきたなんて……
それはイオン様を保護する為…?



「ジェイド達は、まだかしら…」


イオン様を助けようにも、流石に私一人、封印術をかけられた状態では難しい。

目の前にいるのに助けられない歯痒さ…、そんな気持ちをどうにかしようとしたが、それよりも先にメアリーの首に剣が添えられた為に降参の意を込めて両手をあげた。


「降参よ」

「随分と呆気ないな」


無駄な抵抗はしない。
そう言えば相手は笑って目的を聞いてきた。

「イオン様を護ることよ。それから、ルーク達も」

「!ルークを知ってるのか!?」

「……えぇ」


ルーク、と名前を出せば過剰に反応する彼。
いろいろと話をすれば、彼、ガイはルークの家に仕えている使用人で侵入者(ティアの事よね)と一緒に飛ばされたルークを探しに来た。
そして長年の勘で何となくルークがここにいる気がした、と…



「凄いわね、勘だなんて」

「凄くなんてないさ」


ガイは信用してくれたのか剣を収め、下を見遣った……と思えば、飛び降りていた。


「ガイ!?」



『ガイ様、華麗に参上!!』


「……ジェイド、ルーク……」


皆がいたから飛び降りたのね…。
なら、私も行かなくちゃいけないわね。



ストン、と地面に降り立ち、ピンクの髪の女の子を拘束すれば
調度イオン様がガイの手によって救出されていて、
ジェイドはと言えば、慌てる様子もなくこの逆転劇に順応してリグレットに武器を捨てるように指示してタルタロスへと閉じ込めた。




「……あのピンクの髪の子…妖獣のアリエッタ、よね…」

「そうですよ?」


卵、渡せなかったわね…


「……まぁ…良いわ。ジェイド、よく無事だったわね」

「メアリーこそ、よく無事でしたね」

「当たり前でしょう?」

封印術をかけられた事はジェイドもメアリーもお互いに口にはださなかった。

「それにしても、我が家の坊ちゃんを探してたらこんな事に巻き込まれてるなんてな」


沈黙の後、ガイが口を開いた。
肩を竦めて苦労話を語る彼はきっと苦労人なんだろう。
そんな気がする。


「…タルタロスは使えませんし…ここから1番近いセントビナーに向かいましょう。アニスとの合流場所でもありますから」

「はい」

「でも、おたくさんの部下は良いのかい?まだ中にいるだろう?」

「それなら…「生き残りはいない、と思っても間違いではないでしょう」」

「行きましょう。これ以上犠牲を増やさない為にも」


あら…
どうしましょう…
部下は無事と言いたかったのにジェイドに遮られてしまったうえにイオン様にも言われてしまっては…今更、という感じがしてしまう……


…うーん……セントビナーに行けば、解ることだし……平気ね。


皆も一通り会話して、友好を深めたみたいだけれど……。
さっきから、ルークがちらちらとこっちを見てるのよね…
多分、タルタロスに乗る時の事が原因よね。



「……ルーク…」

「あ…メアリー……」

「ごめんね?」


ふさふさとした髪を撫でれば照れたのか顔を背けられてしまった。


「な、なんの事だよ!」

「ふふ。」

「笑うな!」


可愛いなーと思ったのはここだけの秘密にしておきましょう。


クスクスと笑い続けるメアリーにルークはブーブー文句を言うが、メアリーは気にしてないようだった。




< To be continued >



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