久しぶりにいただいた休暇。


仕事がないっていうのは
何だか不思議な感じ。



今日は何しようかしら…?



休息



「え?休み…?」

「あぁ。メアリーもジェイドも働き過ぎだと思ってな!休みを与える!」

「…でも陛下、私に休みは…」

「いや、必要だ!!」

「……」

黙り込んで困った顔をするメアリーにピオニーは 良いことを思い付いたような笑顔を浮かべて「なら、皇帝勅命だ!」と言い放った。

その勅命に逆らえるハズもなくメアリーは渋りながらも
休暇について了承する。



「よし、良い子だ」

「………ピオニー、流石に…頭撫でられるのは…」


恥ずかしいわ、そう言いながら俯くメアリーにピオニーはケラケラと笑いを浮かべた。


「立場逆転、だな。メアリー先生?」

「もう…!」


その言葉にむっと頬を膨らませたが、二人は目が合うと昔を懐かしむように微笑みを見せたのだった。

















「うーん、何しようかしら?」


お休みをいただいたのは良いもののやることが、ない。
オールドラントの事は……、
字の読み書きだって、歴史だって何だって大体の一般常識は調べ理解し、軍の事も もう解らないって事は今はない。


ならば……



「やりたい事、やってようかしら…久々に…」



ここ何年かは、お菓子作りもショッピングも楽しんでいない。
今日が良い機会じゃないか、そう考えたメアリーは服を着替え街へと足を運んだ。



「まず…洋服…?」


服屋に入り、いろいろと物色する。
メアリーが主に手に持っているのはシンプルなワンピースの類いだ。


「あ、これ、可愛い…」


白い可愛らしいワンピースを手に取ろうとするも、横から伸ばされた手にソレは取られてしまった。


「確かに、可愛らしいワンピースですねぇ。こちらもメアリーには似合いそうですが?」


「じ、ジェイド…!?」


驚きのあまり、大声をあげてしまった。
ジロリと見るお店の人の視線が痛い…。

「な、なんでここに…?」

女性の服屋であるここに居るジェイドは美形なこともあり浮いているかのような感じがする。


「メアリーが見えましたから、ショッピングでしたらお付き合いしますよ?」


「…お願い、します」


ニコニコ微笑むジェイドにメアリーは自然と顔が綻ぶのを感じた。


「あまり買い物できませんからね、沢山買い込んではいかがです?」

「ええ、そのつもり。服とか欲しかったし……」

「では、これなんかどうです?」



ジェイドが渡す服は確かにメアリー好みで、些か量も多い気がするが服を買い二人は次のお店に向かう。








「ジェイド、やっぱり、私が払うわ!」

「いえいえ、構いませんよ。」

「でも、…」

「この服は、私からのプレゼントです。」

「……」

「受け取ってくれますよね?」

「……ありがとう、ジェイド」


お金もだけれど、荷物まで持ってくれるジェイド。
お互い、私服で……何だかデートみたいよね?



「……、メアリー?顔が赤いですよ?」

「気のせいよ、気のせい…!」


パタパタと頭を振ってメアリーはジェイドの先を歩いていく。ふと横を見れば小さなアクセサリーショップが目に入った。


「ね、ジェイド。寄っても良い…?」

「えぇ。」


ジェイドの許可も降りてメアリーは早速 お店に足を踏み入れた。

ピアスやネックレス、髪飾りなどアクセサリーが多々置いてあるなかメアリーはリングに目をひかれた。


「綺麗……」


ペアで置かれている一組のリング。
隣で何やらピアスを見ているジェイドをじーっと見つめた後メアリーは笑みを浮かべてそのリングを手に取りお会計を済ませた。



















「はー…いっぱい買ったわねぇ」

「服に、靴、それから食材。まぁ、よくここまで…」



ドサドサ、と今日買った荷物をリビングに置く。
結局、ジェイドは自宅まで荷物の全てを持ってくれて、
私が持った物といえば、途中で買ったリングくらい……
ジェイドの何処にそんな力があるのかしら…?

「久々のショッピングだったんだもの…。」

「それにしても買い込み過ぎでは…?」

「買い込みなさいってジェイドが言ったんじゃない」

「……そうですが、ねぇ?」

食材を冷蔵庫、貯蔵庫にしまい込みながらジェイドは口を開く何だかんだで優しいのだ、彼は。


「ふふ…。ジェイド」


「はい?」


「ちょっと、こっちに来て?」

「?」

首を傾げながら近づいてきたジェイドにしゃがんでもらう。
ぎゅっと首に抱き着くようにしてチェーンに通したリングをかける。
ぱっと離れればジェイドは珍しく目を見開いてリングを見つめている。


「私から、今日の御礼と記念に。」

「記念?」

「ジェイドと、私が再会した日よ。」

「…、本当ですね、」


カレンダーを見ながらジェイドは納得したように頷いた。


「ペア、なの。私と」

「……大切に、します」


首にかけられたリングをジェイドに見せれば、ジェイドは
穏やかに微笑んでメアリーを抱きしめた。






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