ごめんなさい。


ありがとう。


さようなら………




伝えたい言葉は沢山あるけれど
どれも、云えないまま。



永遠の別れ



ドサッ…!


夥しい程の血がメアリーを中心として広がる。


どうして…?



どうして…メアリーが、こんな事に…?



頭が上手く回らない。


だってメアリーはさっきまで
優しく微笑んでて…




「バカモヤシ!!
早くアクマを壊せっ!!」



「!っ、はい……!」


神田の声に現実に引き戻された僕はすぐにクラウン・クラウンを発動させる。




でも 相手はレベル4。
苦戦をしいられるに決まってる。



それでも、やらなきゃ いけない。



メアリーを見ればわかる。
早く、早く助けなきゃ…!!





「クラウン・クラウンッ!!」



一度は手放したソレを名前を呼んで呼び寄せる。

退魔の剣は狙い通り、僕とレベル4に突き刺さる。



「…ばかですね、おまえもダメージをうけますよ」

「クラウン・クラウンは退魔の剣だから…アクマのキミにしか効かないよ」



「なら、なんでおまえもくるしんでるのでしょう?」



レベル4にそう言われた時には
全身に突き刺すような痛みが巡ってた。




「あああ゛あ゛あああ゛ぁあぁぁあ゛あああ゛ああッ」




痛い


イタい






   いた い






「わけのわからないやつ…しんじゃえっ」





そこからは…
よく覚えてない。


ただ、神田と一緒にレベル4を倒したのは覚えてる。



「メアリー…!!」




目を閉じたまま
ピクリともしないメアリーに心臓が激しく脈打つ。



そっと伸ばした指はメアリーに触れる前に止められた。



「おい、モヤシ。」



「………!………アレンだっつってんだろ」




僕の中で何かが変わった。
もうマナの仮面を被らなくても良いって思った。



でも、今は呼び方なんかよりも…



「諦めろよ、メアリーは…もう、」



「………何言ってんですか、神田…メアリーはまだ暖かい。生きてるよ」



「………っ」



グラグラ。
頭が揺らされているような気分だ。



平行感覚さえ、失ってしまいそうな………



だって、メアリーが冷たい。

呼吸を感じられない。
血だって、もう流れてないのに……




「メアリー………メアリー、ねぇ…起きてよ。コムイさんが待ってるよ?リナリーだって…、バクさんだって……皆……」



水の中に入ったみたいに視界が滲む。

あぁ……
どうしよう。



こんなとこで泣いちゃ、駄目だ。
ティモシーだって居るんだから…。


−違う世界の人が好き



頭に浮かんだ、メアリーの言葉。
もしかして……



「………あの」


ふとさした影。
顔をあげるとエミリアさんの姿。


「………エミリアさん……、どうしたんですか……?」


「……メアリー、さんは……」



言えない。
エミリアさんは一般人だから、絶対に言えない。



「疲れて寝てるだけですよ。イノセンスの使いすぎで…」


「そうですか…、良かった…」



安堵した表情。
僕の判断は間違ってなかった。


「おい、モヤシ…行くぞ。メアリーとマリは怪我してんだからな」



神田の言葉と共に
僕達はゆっくりと扉に向かって歩き出した。



ねぇ、メアリー。
もしかして……、好きだっていってた人の世界に行ったんですか…?


問い掛けたって、もうメアリーから返事はかえってこない。


「……ありがとう。…ごめん、メアリー。……さようなら」




アレンが呟いた声は誰にも届かずに消えた。




ユラユラ…
また、あの感覚。



どうしてだか、浮遊感には
もう慣れてしまった。




「…………ローレライ…、居るの…?」



「万物を司る女神か……。」



「メアリーよ。」



「………メアリー、随分と早いな。」



「だって…、早く逢いたかったから。」



ニッコリ、微笑めばローレライが驚いたのが雰囲気で解った。


だって逢いたいのは本音。



もう半年も逢ってないのよ?


ジェイドにとっては、何年だかなんて解らない。



だったら、覚悟が揺るがないうちに私は……




「では、メアリー。お前をあちらの世界に送ろう」



「…えぇ…」


「幸運を祈る。そしてメアリー……、どうか私とユリアの愛した世界を救ってくれ。」





ローレライの声を合図に
落ちていく身体。




仰向けに落ちているからか
下から 追い上げるような風が私の身体を打ち付ける。


その流れに身を任せるように私は目を閉じた。



次に目を開いた時にはジェイドや皆に会える事を信じて。




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