会いたい




あいたい




逢いたい




何度 星に願えば
神様は叶えてくれますか…?




生死を掛けた問い




−…万物を司る女神よ…。
どうか…――――


「!」



「メアリー?どうかした?」



「………ううん、なんでもない…」




今の声は、そう…
私がオールドラントに行った時に聞こえた声だった。


暖かい男の人の声…。



彼の声を聞く事は
あの時 以来、無かったというのに…なんで…?



「メアリー!今日の午後にGのとこに行くからね!」


「えぇ、分かったわ。私は部屋に居るから、よろしくね」


「りょーかい」




−万物を司る女神よ、――声に―えよ…。



「っ!?」


部屋に入った途端に
激しい頭痛がおきた。
そして あの声も脳に直接 響いてるような感じ……。



だけど 聞こえるのに聞こえない…。
頭痛のせいで、耳に入っても理解が出来ない、



「っ……痛……」




頭痛に比例するかのように頭に声も響く。
あまりの痛みに意識が飛びそうになった私はベットに倒れ込んで瞼を閉じた。


「………っ……」



−万物を司る女神よ、どうか私の声に答えて……。



最後に聞こえた声が
彼とは違う女の人の声だったのは確かな事――…。








「起きて、メアリー…。」



ふわふわした感覚……
まるで浮いてるような…




「メアリー!」


「え!?」



ガバッ!
そう効果音がつくんじゃないかってくらいに私は勢いよく起き上がった。
辺りを見回しても周りは白ばかり。
ホテルの部屋じゃないことは確かね。



「……真っ白…」



上も下も右も左も解らない真っ白な空間に私はいる。
浮いているのか 足や体に地面に触れている感覚がない。



「……メアリー」



「あ…あなた、は……」



真っ白な空間に私以外の人。

マロンペーストの髪に澄んだ碧の瞳。
ゆったりとした服…、
綺麗な女性。
ただ、そう思った。



「万物を司る女神よ。」



万物を司る女神、
彼の声も彼女も 私をそう呼んだ。


私はメアリーだと言うのに…
一体、なんで…?


「メアリー、古代イスパニア語で『万物を司る女神』という意味を持つのです」


「!……そう、ですか…」



彼女は私の思った事をピタリと言い当てた…。
まるで何もかも見透かしているとでも言うように。


「…あの、あなたは…」


「私はユリア・ジュエ。」



「ユリア!?…あなたが…!?」



ユリア・ジュエ。
ダアトにて始祖ユリアと崇められ、預言を残した オールドラントにとっての神と違わない人物。


そんな彼女が何故…?




「あなたに頼みがあるのです。」


「―――私に?」


「えぇ。これはメアリー、あなたにしか出来ない。」


「……」


「あなたに、私の預言を覆してもらいたいのです。オールドラントが破滅しないように…」



「!破滅……?」


「あなたなら、解る筈です。」



「…解る筈が…」



「いいえ、解ります。あなたなら必ず…」



「………私なら……?」



「メアリー、どうか…世界を救って…」



−ザザッ…



ユリアの姿がぶれはじめる。
このユリアはホログラムだというの…?!


「待って、ユリア!!」


手を伸ばしても もう届かない。ユリアは既に消えた後だった。





真っ白な空間に 今度こそ私だけ。
さっきまでと違って虚無感が私を支配する。


その上、ユリアの謎の言葉に私は惑わされてばかり。



ユリアは一体
何を言いたかったのかしら…?



「…女神よ」


「?」



前を見据えていたら目の前に急に現れたオレンジの光。
今、喋った…?





「……万物を司る女神よ。」


「!!」



やっぱり、喋った…!!!
というより この声……


あの暖かい彼…?




「な、……え…?」



「我が名はローレライ。ユリアと契約せし者だ」



「ローレライ、…第七音素集合体ね…?」



「さよう。…万物を司る女神に問おう。」


「?」


ローレライはユラリと揺れたかと思うと そのまま人の形へと変わっていく。


「オールドラントとこの世界、どちらを選ぶ?」


「そんなの…私は、」


私の答えは決まってる。



「本当に良いのか?万物を司る女神よ。この世界も、お前を必要としている。」



「………、それでも…私は…オールドラントに…ジェイドに逢いたい。」



神様に願うのは、もう疲れたの。
逢えるならば…
私はジェイドに逢いたい。



「……良いだろう。ならば、一週間以内に…この世界で死ぬのだ。」



一週間以内に…
死ななくちゃ、いけない…?



「どうして…」


「お前の身体から魂を切り離し、オールドラントにて再び音素で構築された身体に魂を取り入れる為なのだ」



オールドラントでは音素で構築された身体が必要。
そんなの 分かってるけど……


死ぬのは…
怖い…。




「一週間で死ねなければ…オールドラントには行けない」


「……やるしかないのね、」


「あぁ」


「解ったわ。」


− 万物を司る女神よ…、約束は一週間だ。それを忘れるな…。



目を開けると 私はベットの上。時間を確認すれば短針は2を指している。



「………嘘ッ!?」



慌てて階段を駆け降りて皆を探しても このホテルにはいない。
つまり……
置いて行かれた…?



「……起こしてくれれば良いのに……っ…!!!」



こんな仕様もないことでイノセンスの力を使うのもあれだけど…仕方ないわよね?


「月影の舞姫、発動…!
『舞姫』」



メアリーが扇を一閃すると
その場にメアリーの姿はなくなり風で砂が舞い上がっているだけだった。













「…到着…!」


軽やかに着地したメアリー。
扇を拡散させながら見上げた建物は孤児院らしく周りに比べて立派だ。



「……孤児院なのね…。道理で…」


一人呟き、納得しながら
ドアノブを捻り中に入る。




「何だ…?もう夜…?」


「違う!俺達が結界に閉じ込められたんだ!」


「…え!?」


ゆっくりとした足取りで進みアレン達のいる部屋へとたどり着いた時…


窓から見える景色が真っ暗になった。




<To be continued>
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -