道は歩いたあとに出来るもの


踏み締められた
土が堅くなり
跡となって道に成る。



昔、クロスに聞かされた言葉は
私を立たせてくれたように、アレンくんを立たせてくれる。


私は、そう信じてる。



道は自分で作るもの




午前0時のルーブル美術館内。
すでに観覧時間は過ぎているけど 怪盗Gがここにある国宝 リージェントを盗みだすと予告を出した為に 警官達による賑わいが見える。


まぁ、賑わいというより…意気込みかしら……。



「ガルマー警部…、そんなに気を張ると疲れてしまいますよ…?」

「いや、気を張ってないと駄目なんだ。アイツは俺達警察を馬鹿にしてるからな!」


「…でも、」


「って!!お前は昨日の美女!!なんでここに!」


「メアリーです。
…怪盗Gがイノセンスに関係してるかもしれませんから。」



ガルマー警部はずっと私を見ているけれど私の目線は国宝を捕らえたまま。


だってGがいつ現れるかなんて解らないんだから…


「とりあえず、だ。…ねこそぎワッパにかけて犯罪集団として裁判にかけてやる!!警察の意地を見せたろやんけ野郎共ぉ!!」


「オーーッ!!」



−パリン!!



「!!」



目線はずっと国宝だったのに
Gに気付かなかった……。
これじゃあ、本当にGHOSTね。


「ご苦労様、ガルマー警部」


「Gだーっ!!!」



警部が声を張り上げた時には既にGは窓から外へ飛び出した後。



「狙い通りね。――ユウ、そっちに行ったわ。」


無線に向かってそう言えば聞こえたのは、ユウの了解という短い返事。


「…では、警部。私はこれで」


「ちょ、待て!!」



私もGと同じように窓から外に出る。
勿論、警部の制止は無視して。






「確保。」


『ちゃんと加減したか神田』


「マリ、駄目よ。Gから『死ーん』って音が聞こえるもの。」


『本当か?メアリー。』


「えぇ。」


「加減はしたぜ?」


ユウは加減したと言い張るけど…
これは明らかに死亡フラグ立ってるわよ。


「…あぁ、そうだわ。ユウ、そろそろ警部がくると思うから…よろしくね。」

「は?」


ヒラリ、とコートを翻しながらメアリーはアレン達に報告しに行く為に歩きだす。
無線でも良いのだが、なんとなく直に伝えたかったのだ。



「待てぃ!!!」


調度 アレン達のところに着いた頃、下からガルマーの声が響いてきた。



「ふふ、アレンくん。ドーナツ、ついてる」


「え!?…アリガト、メアリー。…神田は?」


「Gと警部と一緒だと思うわ。」


「そっか」


屋根から下を見ればユウが国宝を投げている。
まったく、ユウには物を大事に扱う方法を叩き込まなくちゃいけないわね…。









「残念でしたね諸君。ワタシは絶対捕まらないのだよ。」



「アレンくん!」

「了解。」

「はっはっはっはっはっ…」


−ゴッ


「残念でした!ここにも伏兵がいたりしてV」


どうゆう理屈かは解らないけれどGが屋根上に現れた為に
伏兵…アレンくんがGと対峙した。

下では歓喜の声と怒声が入り交じってる。



「…見物(みもの)ね、Gはどう動くのかしら…。」



「あっ!!!」


大きな声に視線を向ければ王冠がこちらに飛んできてる。


「あらあら…経費で弁償できる額じゃないって言ったのに…。」



まぁ 言ったのはリンクにだけど、どうして伝えてくれなかったのかしら。



「メアリー!!」


「…、解ってる!」




軽く助走をつけて飛び上がり王冠を手に取る。


…上手くキャッチできて良かった……。



「メアリー、ありがとう!」


「いいえ。リンクから聞かなかった?」



「え…あーっと…聞いたんだけど……」



しどろもどろになりながら答えるから、アレンくんを怒る気も失せちゃったわ…。



「で、なんだっけ?Gを捕まえるだっけ?」



「「!」」



「できるかな?」




いつもと違うリンクの口調。
彼を見れば舌を出して挑発するかのような表情。


声を掛けようとしたというのにリンクは攻撃を仕掛けてきた。



「リンク!?」



メアリーは持ち前の身体能力でかわしたがアレンはその攻撃をまともにくらい、そのまま吹っ飛んだ。




いろいろあってユウも参戦してのG退治。


「秘術 縛羽


   縛   」





「…リンクは鴉、なのね…。アレン!ユウ!下がりなさい!」





鴉ならば、私が相手。



「え、今…メアリー……呼び捨て…」


「気にすんな、モヤシ。アイツ、かなり真剣になったりマジギレすっと呼び方変わんだよ。」



「そ、そうなんだ…」




メアリーのまた新しい一面を知ったアレンだった。





「さぁ、G。私が相手よ」



「ねぇ、オネーさん。見てよ、アレ。」



「?」



G(外見はリンクだけど)が指差す方には警官達。




「私じゃないんだぁぁーーっ!!」



先程 王冠を持って屋根に現れたG…どうも警官だったらしくガルマー警部に迫られている。



「ぷっ、はははっ!」


「…。何か…面白いかしら…?」



「だって、おかしいでしょ。大の大人があんな風にさ」



Gは やはり、子供かもしれない。
こうやって 彼らを笑うあたり。



「最低ね。あなたのせいでGにされた人達のこれからの人生、目茶苦茶よ。本当に最低よ。」



「……うるさいっ!!」


私の言葉に逆ギレしたGはそのまま飛び掛かってきた。

ユウとアレンくんも もしもの可能性を考えてか、傍にいるし…
大丈夫よね…



「…ぅ、りゃっ…!」



G…基、リンクの体に遠慮なしに蹴りをいれる。


「うげっ…」



「ふふ、ヒールって結構痛いのよね♪」



そう、私が高いヒールを履いてるのは、お洒落でもなんでもなくて…
ただ攻撃力をあげるためだけのもの。


女の蹴りなんてたかがしれてるけど…ヒールの分もいれると、相当な力になるものね♪



「いっ…いったぁ……」



「さぁ、大人しくしなさい。」


ピタッと扇を喉元に宛てて降参を迫る。


「ふん、扇で何が…」


−ブシュッ


「残念ね、私の扇…切れ味、鋭いのよ」



アクマを破壊する武器である月影の舞姫がただの扇のわけないじゃない?


クスクスと笑いながらそう伝えると 悔しそうに顔を歪ませてGが俯く。



「ぴ…」



「ぴ?」



「ぴええぇえぇ〜〜〜〜〜」


「リンク……」



「ぴぇええぇえ〜痛いよーっ」


「い、痛くないわ…っ!大丈夫、よ…!ねっ?」


「人殺しぃーーー!!!」


まさか泣くとは思っていなかったメアリーは慌ててフォローしだしたがGはそんな事構わずにリンクの体から出ていった。



「……大丈夫か、メアリー」


「え、えぇ…私は…」


「…リンクのキャラが崩れていったね…」




不可思議な怪盗は独特の泣き声と初めての盗み失敗という結果を残して去って行った。




<To be continued>
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