新しい仲間は



健康的な褐色の肌と金髪が特徴の活発な少年でした。





関係の成り立ち





「うわぁあぁん…メアリーさんっ…!怖かったよぉー」



昨日 憲兵に捕まってしまったサフィールを迎えに行くと
彼は大粒の涙を零しながら私に抱き着いてきた。


「ごめんね、サフィール…。」


「グスッ…、皇子様って…どんな人だった…?」

「塾で話すわ。ジェイドも塾にいるし…行きましょう?」


私のせいだから、仕様がないと思い頭を撫でてあげれば 愚図つきながらも口を開くサフィール。
その質問に答える為にも
まずはサフィールを釈放してもらい
そのままネビリムさんの家に進む。









「でね、メアリーさん!その時のジェイドってば酷いんだよ!」


「ふふ、サフィールはジェイドが好きなのねぇ」



歩きながらサフィールが口を開けば ジェイドの話題ばかりがあがって
サフィールがジェイドを大好きな事が伺える。


「えっ……、そんな事ないよ!!」


だから聞いてみたのに
サフィールは首を大きく振って否定した。

でも かなり焦ってるみたいだから実際は図星よね。

というよりも
隠していたとしても いつもジェイドにくっついているから好きだってバレバレね。



「とにかく!僕はジェイドなんか好きじゃないからね!」



聞いてもいないのに力一杯否定するサフィール。

これは、あれよね。
俗に言う…


「ツンデレね。」



「なぁっ!?」




サフィールを充分にからかった私はクスクスと笑いながら
目の前にあるネビリムさんの家の扉を開ける。


そのまま部屋へと進めば
既にジェイドや他の生徒が席について勉強に勤しんでいた。



「ネビリムさん、サフィール迎えに行ってきました」


「あら、ありがとう。メアリー。お帰りなさい、サフィール。」


「ただいまっ、ネビリム先生!」


サフィールはネビリムさんに迎えられた事が余程嬉しかったのか
満面の笑顔を浮かべて自分の席へとついた。



「メアリー、少し皆を見ててくれるかしら。」

「?判りました。」


了承の意を伝えればネビリムさんはスッと部屋を出ていく。

ネビリムさんが戻るまでの間は私が先生のようなものだから
手をあげて質問しようとしている子のとこへと行き
解りやすく教える。



「ここは…――――」



「あー!そっか!ありがとう、メアリー先生!」



解き方が判れば簡単に出来たようで その子は笑顔でメアリーに御礼を言った。

一連の動作を見ていたジェイドは隣で喚くサフィールを気にもとめずに眉間に皺を寄せると、
とうとう我慢の限界が来たのか口を開く。



「メアリー。」



ジェイドがメアリーの名前を呼んだだけで 賑やかだった部屋が水を打ったような静けさになる。
それはジェイドの声が怒気を含んでいたのと、授業中は先生と言っていた彼がメアリーを呼び捨てで呼んだ事への驚きからだった。



「―――ジェイド、今は先生、でしょう?」


「……。」


無言を貫くジェイドにメアリーが近付けばサフィールが 「あ。」と小さく声を漏らす。


「サフィール?」


「そうだよ!ねぇ、メアリーさん。皇子様ってどんな人だったの?」


サフィールの質問と共に
部屋の扉が開き ネビリムと少年が入って来た。

扉が開く音にメアリーが反射的にそちらを向けば 少年と目が合う。


「!」


「アイツ…」


私が驚きに目を見開けば
ジェイドも気が付いたのか隣で小さく呟いた。
サフィールだけは何が起きたのか解らずにキョトンとしてるが
この際、気にはしてられない。





「今日から一緒に勉強することになった、ピオニーよ。」


「ピオニーだ。よろしくな!」


ニカッ と彼特有の笑みを浮かべてピオニーは教室を見渡す。
新しい友達にざわめく教室だけど…、私とジェイドは何も言えない。


思う事はひとつ。



なんで皇子様が……?



「じゃぁ、ピオニーは……サフィールの前がいいわね。あそこの席よ。」


「おぅ。」



ネビリムさんは
きっと何も知らないのよね?

いえ、むしろ知ってるがゆえの黙秘なのかしら…?


普通なら皇子様、なんて通わせたり出来ないけど
あのネビリムさんだもの…。


皇子だろうが何だろうが
同じ人間よ、的な考え方で
何も言わないのかも………



「よろしくな、サフィール!昨日、憲兵に捕まったのお前だろ?」

「な…何でそんな事…!」


「なんでって…。だって見てたからなぁ…」


「見てたっ!?」


「な、ジェイド!」


「………あぁ」


「!?ジェイドも一緒に…?じゃぁ、もしかして……っ」


「噂の皇子は俺だぜ?」


「う、嘘だぁっ」


メアリーが考えに耽る間
サフィールとピオニー、ジェイドはこんな会話をしていた。




「メアリーさん!」

メアリーの思考を中断させたのはサフィールの呼び声だった。

サフィールに目を向ければ、彼はメアリーの服にしがみつき
どこか切羽詰まったような声で喋り始める。



「あ、あの!昨日、僕が言った噂の皇子様って本当にピオニーなのっ?」


「えぇ、そうみたいよ?」


肯定の意味を込めて頷けば
サフィールはショックを受けたような表情になり いつも青白い顔を よりいっそう青白くした。


「…大丈夫?」


「…ぅ、うん……」




頷きはしたもののサフィールはとてもではないが
大丈夫には見えない。


「サフィール〜、大丈夫か?」


ジェイドと話していたピオニーもサフィールの異常に気が付いたのか声をかける。
だが それは逆効果でサフィールはピオニーを睨み付けた。


「僕はお前が嫌いだッッ!」


「俺はお前、好きだな。面白いし。あ、もちろん、ジェイドも、メアリーもな。」


「〜〜っジェイドは渡さない!!」





サフィールの顔にはジェイド大好き!とありありと書かれていてメアリーは苦笑しながら 張本人に視線を向けてみる。
ジェイドはあからさまに嫌そうな顔をして、揚句の果てには はっきりと


「気持ち悪い。」



と言ってのけたのだった。



<To be continued>
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