06


目を開けるとそこは、知らない部屋だった。


『っ、なに、この部屋っ!?物でたくさん…』


たくさんの物で溢れ返っている。
人形に本、服に装飾品、そして、花束。


『っ、どうしよう。ここどこ!?』


私は、ベッドから出て窓へと向かった。
目の前に広がったのは、塀にそして小さく見える街だった。
そのとき、ドアがノックされるのに気づいた。


『…失礼します』


『っ!』


入ってきた空色の髪の人の服装に見覚えがある。
そうだ、あれは、軍服だ。
ってことは、まさかここは…


『ここは、国の軍の本部ですよ』


『っ、え』


空色の人が答えを言った。
だとしたら、やばい。
逃げなきゃ。


『っ!』


私は、持ち前の逃げ足の早さで廊下へと出た。
だけど、どうしようどこに逃げよう。


『待ーーーーった』


ガシリ、と掴まれた肩に冷や汗が流れた。
私、死ぬ。


『……君、かわいいっスね。赤司っちが言ってたとおりっス』


ぎゅうっと抱きつかれた。
…誰。
恐る恐る後ろを振り返ると、そこには、金髪の顔の整った人がにこりと笑っていた。


『っ!!!』


『あ、びっくりしてる。あはは、かーわいっ』


もう、この人嫌だ。
さっきから可愛いしか言ってない。
その時、さっきの空色の髪の人が近づいてきた。


『黄瀬くん、離してください。彼女困ってますよ』


『黒子っち…だってこの子、かわいいんスもん』


『……赤司くんに殺されても知らないですよ』


『それは、嫌っス!』


それよりも、早く離して欲しい。
さっきよりも力強く抱きしめられてるのは気のせいじゃないよね。


『…それは、そうとこれから宜しくおねがいしますね。不破名前さん』


丁寧にお辞儀をされ、私も慌ててお辞儀をする。


ここからが、悪夢の始まりだったのだ。



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