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気持ちのいい、朝日が窓から入ってくる。
その眩しさに布団を頭へと被せた。
だが、それも数秒のうちにはがされる。
「う、ん……ふ、とん……」
「おはようございます、名前さん。気持ちのいい朝ですよ」
「……、ね、むい」
「眠いじゃありません、起きてください」
まだ起きていない脳を無理やり起こし、体をあげる。
朝日がベッドを照らしていた。
「んー、夢見てたのに……」
「おや、どんな夢でしたか?」
さっきまで。
ついさっきまで見ていた夢が思い出せない。
「……思い出せないや。忘れちゃったみたい」
「そうですか」
一瞬、テツヤが笑った気がした。
「それはきっと、さぞかし素晴らしい夢だったのでしょうね」
その言葉に違和感を覚えた。
だが、あまりにも綺麗にテツヤは笑うので、それでいいやと思い同意した。
「さあ、今日も始まりますよ」
ふと、深い海の香りがしたが、この軍の近くに海はない。
気のせいだろう。
「……また、始まるのか」
「ええ。今日という一日が」
笑みを浮かべるテツヤ。
また彼らに愛される1日が始まった。
――――――――end.
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