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大輝の頬から血が出る。
その血が私にも飛び散った。


「私は、許さない。日嗣の家族を殺して、私の家族を殺して、もう、たくさんだ!!!どれだけ私を苦しめればいいの!?どれだけ私は苦しめばいいの!?どれだけ、我慢すればいいの…!!!」


今までの想いが爆発する。
止めることなんてできない。
止まらない。


「ほんとに、私をこれ以上、どうしたいの……私はただ、」


「名前、もう、いいよ」


「日嗣…」


「もう、その言葉だけで十分だよ」


日嗣の声が震えている。


「……ちっ、マジで怒るぞ」


低い低音が響いた。
地の底を這うような声。


「あー、マジでもうどうでもいい。名前の言いたいことも理解したが、それはそれでムカつくし、そいつ邪魔」


パンッと銃声が響いた。
その銃弾は、日嗣のすぐ横の電灯に当たった。


「なっ…!」


日嗣の顔が真っ青だ。
私は慌てて、日嗣へと駆け寄る。


「全て邪魔なんだよ。お前には俺ら以外なくていいだろ?何もいらないだろ?俺らとの愛だけあればいいだろ?俺らの記憶だけがあればいい」


カチャリ


嫌な音がした。


「大輝…?」


「死ねよ」


それは、ひどく冷たい言葉だった。
それは、ひどく哀しい言葉だった。


「っ――――――!!」


目の前に、血が噴き出る。
そして、発砲音。


「いっや、だ…嫌だ嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


叫んだ。
叫んだ。
目の前で倒れていく日嗣。
それは、死を意味する。
私の唯一の家族が。
血縁者が。
同じ恨みを持つ同志が。
目の前で無情に殺された。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!いやだ、いやだ!!!死なないでよ!」


日嗣の体温はだんだんと低くなっていく。
死ぬ、日嗣が死ぬ。


「名前」


声がした。
その声の主を見ると、何も感じない瞳をして私を見降ろしていた。


「……んで」


「名前」


「な、んで殺したのよ」


「名前」


「なんで日嗣が死ななきゃいけなんだ…」


聞いても聞いても大輝は名前を呼ぶだけ。


「大っ嫌い」


「知ってる」


その声は、もうすでに諦めていた声だった。


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