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暗い街を走る。
街灯と月明りが照らす。
出来るだけ発砲しただろうところから遠くに逃げなければならない。


「(銃を使うってことは、涼太か大輝か敦ってことだ。真太郎は私が斬った傷がある。深かったから数日は動けないだろう)」


ワンピースが赤に染まったまま。
それを見るたびに、私は呆然とするしかできなかった。


「は、やく逃げなきゃ」


見つからずに明日の夜を迎えればいい。
そうだ、何も戦わなくていいんだ。


「……そうは思っていても見つかっちゃうものは見つかっちゃうんだよね」


それでも、私は歩みを止めない。
ふと、風が冷たくなった気がした。


「―――ああ、あのまま日嗣に会わずに何も知らなければ私はそのまま彼らを愛せていたかな」


そんなことあっただろうか。
だって、私は事実を知る前に逃げている。
それは前から彼らを愛していなかったこと?


「―――ねえ、日嗣ってだーれ?」


すぐ背中で声がした。
聞いたことのある声。
特徴のある間延びした声。


「っ!!!!!」


ガキンッ


振り返り際に遠心力を付けて剣をかざすと何かにぶつかる。


「ねーえ、日嗣ってだーれ?」


剣は銃に塞がれていた。
彼が大きいのか銃がとても小さく見える。


「―――敦…」


「名前ちーん答えてくれないのー?」


いつものような声に黒さが含んでいる。


「ちっ…」


次は敦か…


「舌打ちとかひどくね?俺さ、こんなに名前ちんに会えてうれしーんだよ?」


パンッと弾が放たれる。
それを剣で弾く。
重い弾を弾いた衝撃で、腕が少ししびれた。


「それで?答えてくれねーの?」


「……」


「だんまり?名前ちんひどーい」


ちゃき、と剣を構えなおす。


「――――そんな名前っちもかわいーっスよ」


横から声が聞こえた。


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