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すっかり、日は落ち月が昇り始めた時間帯、ある小道を黄瀬と青峰と紫原が歩いていた。
「はー、名前いねーなー」
「そうっスね」
「んーでも、名前ちんの匂いはするんだよ?しかも、血の匂い」
「ほんとかよ、紫原ー」
町を練り歩く、男三人。
しかも全員背が高い。
通る人みんな、彼らを警戒している。
「ほんとだしー、なに?俺に文句あんの?」
「ねーよ。強いて言うならさっさと名前を見つけろってことかな」
「は?」
「ちょーっとストップストップ!!ここで喧嘩はやめてほしいっス!!」
今すぐ、銃が出て弾が飛び交う状況になりそうなところを黄瀬はとめる。
ここで騒ぎ立てたらいろいろとまずいからだ。
「まあ、でもよ。名前があの一族皆殺し事件の生き残りなんてなー」
「さすが名前っちっスよね!」
「みんな殺してたと思ってたんだけどねー」
物騒な会話が夜の街に響き渡る。
「まあ、でも生き残ってくれてよかったぜ」
青峰の言葉に二人は頷く。
「―――っ、ちょっと待って」
「?なんスか?紫原っち?」
ふと、止まった紫原に黄瀬が疑問を投げかけた。
「――――名前ちんの血の匂い」
どこからか強い匂いがする。
「そして、海の匂い」
「海の匂いだ?」
海の匂いにピンッと二人はひらめく。
「海の匂いって、まさか…」
「――――名前ちんだけじゃなかったみたいだね。生き残り」
紫原は、懐から銃を取り出すと銃口を真上に向けて発砲した。
パンッ
音が町全体に響き渡る。
どこかしらで名前も聞いているはずだ。
「―――んじゃま、合図を鳴らしたところで」
「始めるとするっスかね」
「そうだねー」
それは、月が真上へと昇り始める時間帯のことだった。
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