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「不破の、生き残りが…!!!!」
その言葉にはたくさんの気持ちがこもっていた。
「ね、え。不破ってなんなの…」
「…!君は何も知らないの?覚えてないの?」
綺麗な青の瞳が憎しみに染まる。
「いいよ、教えてあげるよ」
数年前…6年前の、お話だよ。
そう言って、一回大きな深呼吸をしてから話し始めた。
「あれは、急な事だったよ。僕ら一族は、昔から神話として受け継がれていた通り特異な体質を持っている。まあでも不老なだけであって不死ではないんだけどね」
どくり、と心臓が動くのが分かった。
核心に近づいている。
「僕らの血肉には特別な力があるらしく、人間が食べるとその人間は不老になるらしい」
その一族の血を飲めば1年。
その一族の肉を食らえば10年。
その一族の命を食らえば100年。
その一族の骨の髄まで跡形もなく食らえば不老の身体になる。
その一族の加護がもらえれば、平和な世が送れるだろう。
そんな逸話を聞いたことがある。
「それを求めて、この国は軍を僕らの村に寄越したんだ」
それが始まりだよ、と悲しげに眼を細めた。
「――――待って、軍って言った?」
「え、うん」
「――!!まさか、今の軍の幹部たちもその中にいた!?」
私の豹変ぶりにびっくりしているのか、目を丸くしている。
でももし幹部が中にいたなら、私は――――
「……いた、はずだよ。だってこの目で見たからね」
「――――っ!」
彼らがいたなら、私は許せなくなる。
「この目でね。――彼らは、身を差し出そうとしない僕ら一族を皆殺しにし始めたんだ」
「!!!」
「僕ら一族は、分家も合わせて50人も満たない」
その一族全員が殺されることになる。
「みんな必死に逃げたよ。でもね、軍の奴らは不思議な能力を持っているやつがいてね…まあ、そいつらは今の総帥と幹部なんだけども」
言わなくても目に見える。
彼らが人を殺す光景が。
絶望に染まりそうな私。
「生存者を残さないと、血を絶やしてはいけないということで、その時まだ小さかった僕が一族みんなの手によって逃がされた。僕は本家じゃないけど、純血だった。完全なる純血。そして、名前、君も」
「わ、たしも…?」
「うん、僕らは純血。特に特別だ」
綺麗な青の瞳に見つめられる。
匂いも瞳も懐かしく感じる。
「僕だけしか逃げきれていないと思った、君も逃がしたとは聞いていたけど、死んでると思ってた…!!!」
「っ、きゃっ」
また、ぎゅうっと抱きしめられる。
体温の温もりに涙が出てくる。
「みんな、みんな軍に殺されてっ…やっと、やっと出会えた…!!生きててありがとう!!」
「っ、」
涙が止まらない。
純粋な、思いだった。
純粋な、叫びだった。
私が生きていて、本当にうれしかったという気持ちが伝わってくる。
「日嗣、君も生きていてくれて、ありがとっ」
やっと出会えた私たちに、神様は祝福してくれるだろうか。
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