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軍本部。
その最上階の一室に幹部が全員集まっていた。
「―――始まりますね、赤司くん」
黒子テツヤが、空色に瞳を統帥である赤司征十郎に向けた。
赤司は、下げていた目線を上げた。
「そうだね、いよいよだね」
目の前には、髪の色が色とりどりの優秀な部下が5人座っている。
「作戦とか考えてるんスか?」
「―――まあ、大体は考えているよ」
「どんな作戦なのだよ」
「ふふ、真太郎。それだったらなんも面白くない。君たちが考えて動け」
赤司の言葉にみんなびっくりした。
「は、どういうことだよ」
「言ったとおりだよ、大輝。僕の頭の中では作戦は立ててある。だけど、それをお前らにいうつもりはない」
「…赤ちんどうして?」
フッと、赤司が微笑んだ。
「お前らは、僕の優秀な部下たちだからね。信用しているんだよ。君たちなら僕の思い通りの計画に沿ってくれるからね。今までだってそうだろう?」
「…確かにそうですね。赤司くんの言う通りです。ですが、今回はっ!」
「テツヤ」
冷たい声が黒子の言葉を止めた。
「ねえ、テツヤ。今回も前回と同じだ。君たちは、『逃げたら、捕まえる』それを実行しろ。肝に銘じておけ」
さすがこの軍の統帥である。
若いながらも威圧感がある。
それを改めて実感させられた。
「これ以上、僕らのかわいいかわいい名前を外の世界に放置するのも飽きたからな」
「……はあ、お前の気まぐれには付き合ってられないのだよ」
相変わらず、読めない。
赤司は、この逃走劇を気まぐれで始めたのだ。
「自ら、撒いた種だからね。ちゃんと回収するよ」
さてさて、彼女は未だに幸せな夢を思い描いているのだろうか。
そんなもの、絶望に染まるだけなのに。
「―――さあ、始めよう。君との逃走劇の最終章を」
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