25


ある豪華な部屋の一室。
そこに軍の元帥である赤司と部下の紫原以外の幹部が集まっていた。


「…次は、赤司くんと紫原くんが行くらしいですよ」


「え、もう赤司っちと紫原っちが行くんスか!?」


黒子の放った言葉に、柔らかそうな高級ソファーに座っていた黄瀬が声を上げた。
緑間は優雅に紅茶を飲んでいてその隣にいる青峰は怠そうにしておりテーブルに両足をあげていた。


「ふん、その二人が行ったなら確実に名前は捕まるのだよ」


「そうっスよねー!」


黒子もそう思てるらしく二人の言葉にうなずく。
だが、一人だけ納得していない人がいた。


「青峰っちは、そう思ってないんスかー?」


「…名前が逃げ切れねえってのは同感だ」


「だったらなんで…」


「赤司のやつだよ」


そう言い放つ青峰に3人は、顔をかしげた。


「赤司が、なんなのだよ」


「今までずっとおかしいと思ってたんだよ。あいつがそう簡単に名前をここから逃がすなんて」


言われてみればそうだ。
赤司が簡単に名前を逃がすはずがない。
ましてや、青峰と緑間のグループが見つけるまで赤司が名前の行方が分からなかったはずがない。


「青峰くんは何が言いたいんですか」


「…この名前の脱走劇には、何か赤司の思惑があるんじゃねーかって思うんだよ。だからお前らも頭の片隅でそう思ってたから本気で名前を捕まえに行かなかったんだろ?」


全員、青峰の言うことが図星なのか黙る。


「……それで?この逃走劇がすべて赤司っちのシナリオだとして俺らはどうするんスか?赤司っちのこのシナリオは反対するやつなんていない、むしろ賛成するくらいっスよね」


「黄瀬くんの言う通りですよ。僕たちはこのシナリオには賛成です。たとえ赤司くんの手のひらで踊らされてても」


赤司くんのシナリオは名前をここに縛り付けるにはもってこいの話だ。
そのためには自分たちも赤司くんに踊らされていても構わない。
でもそんなことなら何故、自分たちに言わないのか。


「…そこで、赤司が何か企んでると思った訳だな」


深いため息をつき、緑間が言った。


「そう言うことだぜ!」


「じゃあどうします?このまま赤司くんたちが帰ってくるのを待ちますか?」


黒子の言葉に3人は、顔を見合わすのだった。


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