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軍に着いて汚れた軍服のまま元帥の部屋へと向かう。


「失礼します」


コンコンとノックをしてから入るとそこには、紫原以外がいた。


「…おかえり。服の様子から、名前を逃がしたのかな?」


「ええ。さすが名前です。黄瀬くんの銃に撃たれても僕たちを追い詰めましたからね」


「んだよ、黄瀬お前、その胸糞悪い銃で名前を撃ったのかよ」


パンッ


青峰の言葉に黒子の隣にいた黄瀬が笑顔で青峰に向けて銃を撃つ。
だが、青峰に簡単に避けられる。


「っ!黄瀬、てめぇ!何しやがんだよ」


「すんませんス。俺今、虫の居所が悪いんであんまイラつくこと言わないでもらえるっスか?」


「…黄瀬、お前の服装からしてまた暴走したのか?」


「緑間っちもうるさいっスね」


黄瀬が今度は緑間に向けて撃とうとしたとき、赤司が止めた。


「…お前たち二人もダメだったか。そうか」


「それで、赤司くんどうするんですか?」


黒子が赤司を真っ直ぐに見つめて言う。
それに赤司が笑った。


「どうするって、捕まえるだけだろう?それにお前たちは本気で名前を捕まえに行ってないだろう」


その言葉に4人は、思い当たるのか表情が変わる。


「…名前が逃げてるのが面白いんだろう?でもね、僕なんて言った?『捕まえて来い』って言ったんだよ」


「…そうですね、失念していました」


「次は、本気で捕まえて来い。名前をこれ以上外の世界で放しておくのも嫌だからな」


「分かりました」


黒子は、ぐっと剣を持つ手を握った。


「…俺は部屋に行くっス。ちょっと汚れてるんで」


がちゃりと足早に去っていった黄瀬。


「…おい、誰か黄瀬を止めろよ。あいつ絶対無差別に人を殺しに行くぜ?」


「だったら、青峰が行ったらどうなのだよ」


「はあ?俺が?そんなん嫌だぜ。あいつ、めんどくせーし」


青峰と緑間が言い合っている中、黒子が赤司に近づいた。


「赤司、くん」


「…なんだい?テツヤ」


「僕、思ったんですけど」


「…」


「――名前のこと愛してるみたいです」


「…そう」


黒子の頬は、少し赤く染まっていた。


「……なおさら名前を捕まえなきゃな」




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