18
私は地を蹴り、テツヤへと向かう。
テツヤの能力の弱点は、テツヤが血を流せば意味がなくなることだ。
だから、とにかくテツヤを傷つけられれば。
「……名前は馬鹿ですね。僕の血を流せられるとでも?だったら、それが難しいことくらいあなたでも分かるでしょう」
斬りつけた、と思った。
だけど、目の前には何もない。
さすが、テツヤ。
一筋縄ではいけないか。
「なんで、出て行ったんスか?」
パン
涼太の銃から弾が放たれる。
それを交わし、振り返ると目の前にテツヤがいた。
「名前」
ガンッ…
剣同士がぶつかり合う。
「よく、受け止めました。僕が教えたかいがあります」
「っ、それについては、感謝してるよ!」
一旦、離れる。
少し息切れがする。
目も霞んできた。
「……名前っち」
「っ!」
またか!
首にたくましい腕を巻きつけられる。
お腹に涼太の愛銃を当てられる。
「毒が回ってきたようっスね」
やっぱり、涼太のせいか。
このくらくらする感じも。
息切れも。
だって、2発も弾に当たってしまった。
「俺の銃は、毒の塊。だから弾も毒の塊。俺次第で毒の強さも変わるんスけど、名前っちを殺すなんてありえないっスからね。毒は、体がしびれて気を失う程度っス」
これだから、涼太の愛銃は厄介だ。
ほんとに、倒れそう。
「それでも、捕まってなんかやんない」
ぐさり、
私は、剣を地面に突き刺す。
それを見て、涼太は焦りだした。
「!せっかく聞き腕の傷を深くさせたのにっ」
地面に突き刺さる剣から地割れを起こし、涼太とテツヤの元へと起こす。
ぽたり。
腕から止まらない血が剣を伝い落ちる。
「うっわあああっ!」
涼太の叫び声が聞こえた。
きっとテツヤもそうなっているだろう。
そう思ってテツヤを見る。
「え?」
私は、目を見開くことしか出来なかった。
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