14
気持ち悪い。
気持ち悪い。
『名前っち』
啄ばむようなキスを顔中に受ける。
いつもの部屋で首輪をされ、手を手錠で固定されている。
かろうじて自由なのは、足だけだった。
でも、その足には独占欲の印である赤いものが散りばめられていた。
『っ、…涼太』
『ああ、もっともっと俺の名前を呼んで名前っち。名前を呼んでくれるだけで俺、もう嬉しすぎる…』
恍惚な表情を浮かべて、名前の肌を舐める黄瀬。
もう、名前は虚ろな瞳をしていた。
『ん、かわいっ。名前っち大好き。愛してる』
そう言いながら深いキスをしてくる黄瀬。
名前はされるがままになっている。
『んふ、んっ…あっ、』
『名前っちの、ん、喘ぎ声かわいい』
他の女の喘ぎ声が気持ち悪く思える。
絶対、名前っちを抱いたら他の女を抱けなくなる自信がある。
だって、キスでもそう思ってるくらいだし。
『…涼太ぁ』
『ん?なあに?名前っち』
『も、う…やめて』
『だーめ。やめてあげない。俺のことしか見れなくなるくらい、甘やかして溺れさせてあげるんスから』
黄瀬は、名前の首元に顔を寄せ赤い印をつけた。
『…綺麗についたっスね。よく似合ってるっスよ』
這うように首元をなでる黄瀬の手。
人を殺すような人に思えない笑顔を名前に向けた。
『…たす、けて』
『あはは、名前っち。助けなんて来ないっスよ。名前っち、愛してる』
『〜っ、私は…っんぐっ』
ぐっと首を絞められる。
目の前にいる黄瀬は、笑っていた。
『あはははは!俺は否定の言葉はいらないんスよ。名前っちはただ、俺の名前を呼んで、喘いでくれてればそれでいいっス』
生温かい舌が、顔を這う。
気持ち悪い。
『う、あっ…りょ、た』
『あ、名前っちは殺しちゃダメっスもんね』
ぱっと手を離され、咳き込む名前。
それに何思ったのか、名前に噛み付くように唇を重ねた。
『んぐ、ふっ…』
荒々しいキスに名前が黄瀬の胸板を叩く。
そのとき、繋がれている手錠が、ちゃり、と音が鳴った。
『…名前っち。名前っちの息も全部俺のものなんスからね』
『…ふざ、けん、な』
『ふざけてないっス。ああ、また勃起してる…名前っちの手借りるっスね?』
にこやかに言う黄瀬に名前は、涙を流した。
『…泣いたって無駄っスよ。俺はやめない』
地獄はまだ続く。
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